1.実行予算作成の目的

実行予算作成は、何のためにあるのでしょうか。

 以下の2つの目的に分けて考えられます。

 ①工事完了までの実行予算(総原価)のコミットメント

  現場代理人が、会社に対してこれだけの金額で当該工事を完成させることができるという会社に対してのコミットメント(誓約)だ  

 ととらえます。

 ②工事進捗管理

  実行予算を工事が進行していく過程において、実行予算と原価を比較検討し、予算通り進行しているのか、確認するために利用しま  

 す。

  代表的な事例では、残予算管理が挙げられますが、この管理でも確認はできますが、どうしても後追い管理にならざるを得ません。

 MIYABIでは、残予算管理も行っていますが、将来予測も重視しています。

 

2.実際の実行予算作成例

MIYABIを利用して、実行予算を作成し、管理していく事例をご紹介いたします。

2.1.実行予算の体系(階層構造)

工事-工種-種別-細目の階層構造をつくります。プロジェクトマネジメントでは、WBS(ワークブレークダウンストラクチャ)と呼んでいます。

MIYABIでは、まず工事を直接工事費と間接工事費に分類します。

直接工事費をさらに材料費と外注費に分けて工種展開させています。

間接工事費では、仮設工事費と諸経費に分けて工種展開させていきます。

(左図ご参照)

この例はサンプルですので、工種名、金額等については、あくまでも一例としてご認識ください。

 

工種別実行予算金額は、ここでは作成されません。

積み上げですので、

工種-種別-細目-一位代価表-二位代価表の順になり、

MIYABIでは、実行予算総括表-内訳表-一位代価表-二位代価表

の構成になります。

下記では、内訳表を表示しています。

 


●実行予算作成のポイント

 各社において実行予算体系を整備することが重要です。通常は、工事-工種-種別-細目の順で構成されます。さらに細目あるいは種別単価の算定根拠を求めるために一位代価表を作成します。さらに細分化した場合、二位代価表を作成します。

 実行予算体系ですが、自社で作成することが大切ですが、例えば、施主あるいは発注者の体系を代用することも可能です。

 重要なことは、積算とは違うということです。積算は工程が絡んでいませんが、実行予算は工程が重要な要素となります。工程順に並んだ実行予算体系を作成、整備することをお勧めします。

●MIYABIのセールスポイント

 MIYABIでは、工事-工種-種別-細目の順に帳票を整備して、総括表⇔内訳書⇔一位代価表⇔二位代価表としてリンクさせています。すでに、国交省積算体系に準拠した実行予算体系のフォームを確立させています。

2.2.内訳表作成

内訳表によって、工種の金額を積み上げていきます。

工種の内訳となる種別、細目を分けていきます。

作成のポイントは、数量と単価を記載するようにします。

一式計上では、金額の内容が不明となりますので、出来るだけ、

数量および単価を記載すようにしましょう。

また、単価の算定根拠を表すのが、代価表となります。

下記では、その代価表作成を見ていきましょう。

 


●実行予算作成のポイント

 内訳表作成によって、実際の金額が積み上げられてきます。工種の下位階層である種別、細目によって、作業が確定され、数量×単価=金額が確定します。この作業における単価が、重要です。

 この単価が、複合単価(材料、機械、人員を利用しての作業)の場合、もしくは、一式計上の場合、さらに代価表を作成する必要があります。

●MIYABIのセールスポイント

 MIYABIでは、数量と単価を入力すれば、金額を計算するのみならず、工種別金額、全体の予算金額まで、反映します。現在、入力段階で、各階層の金額が一目でわかります。

2.3.一位(二位)代価表作成

内訳表の工種-種別-細目で表示された単価の算定根拠を作成していきます。

ここでは、名称は作業名、規格・寸法は、実際の作業員(型枠大工、オペレータ等)、機械の機種名、材料名の資源名を記載します。

当該作業を実施するための代価数量を記載します。例えば一日当たりの数量となります。

算定根拠となる単価は、合計金額を代価数量で除した値となります。

 

 ここでまだ、単価が複合単価になっている規格・寸法がある場合、もしくは一式計上の場合、二位代価表を作成し、単価を決定していきます。


●実行予算作成のポイント

 代価表作成のポイントは、名称・規格を出来るだけ作業名ではなく資源名にすることです。また、二位代価表の名称は、資源名でなくてはなりません。

●MIYABIのセールスポイント

 MIYABIでは、代価表作成を簡単にしています。代価数量を入力し、名称・規格、数量単価を入力すれば、合計金額から代価数量を除して、単価を計算、出力します。また、過去の代価表を流用することもできます。