勝ち残る積算戦略②|営業と工事の連携による情報一元管理 - ニックスジャパン株式会社

 

⏱️ この記事で分かること(読了時間:約6分)

 

 

✅ 営業と工事の連携におけるデータ共有化の現状

✅ 一元管理されたデータベースの必要性

✅ 情報共有による好循環の作り方

✅ WBSと標準化が情報活用の前提条件である理由

✅ 確度の高い積算・実行予算を迅速に作成する方法

 

営業と工事の連携の現状

 

前回の記事で、実績単価を活用した戦略的価格設定の重要性をお伝えしました。しかし、それを実現するためには、営業と工事の連携が不可欠です。

 

データ共有化の不在

 

営業と工事の連携において、データの共有化が行われているでしょうか。私の知る限り、ほとんど無いと言って良いと思います。

あるとすれば、受注後に設計図書と契約内容を確認した記録を営業から工事に引き渡す時ぐらいでしょう。それもISO9001によって規定されているから仕方なく、といったところでしょうか。

 

工事が完了した後、その実績情報が営業にフィードバックされる仕組みがある企業は、極めて稀です。

 

形式的な引き継ぎの問題

 

受注時の引き継ぎが形式的なものに留まっているケースが多く見受けられます。

営業が積算した根拠、価格設定の背景、競合との比較情報——これらが工事部門に正しく伝わっていなければ、現場代理人は「どこに注意して施工すべきか」が分かりません。

 

逆に、工事完了後の実績情報が営業に戻らなければ、営業は次の見積で同じ過ちを繰り返すことになります。

 

一元管理されたデータベースの必要性

 

この問題を解決するためには、情報が一元管理されていることが重要です。

 

必要な時に必要な情報へアクセス

 

機動性の観点から、営業が整理・分析された過去の工事情報に、必要な時に他部門に連絡することなく、直接アクセスできる仕組みが不可欠です。

必要な工事情報が、必要な時に随時アクセスでき、瞬時に検索され、利用できる状況になっているかが重要です。

 

「あの工事の実績単価を教えてほしい」と工事部門に問い合わせ、回答を待つ——このような手間が発生している状態では、機動的な見積対応は困難です。

 

データの信頼性確保

 

次に重要なのは、データの信頼性です。

それぞれの実績原価情報は、そのまま工事受注に関する損益分岐点情報と言っても過言ではありません。この確かな情報を持っているか否かによって、きちんとした計数管理に基づく経営を行っているか、行き当たりばったりの放漫経営になるかの違いが出てきます。

 

信頼性の低いデータでは、戦略的な価格設定の根拠になりません。

 

情報共有による好循環

 

情報が一元管理され、共有される体制が整えば、好循環が生まれます。

 

工事実績の分析・保管

 

まず工事部門は、自分たちの工事実績を各作業毎に分析し、実績単価として保管します。

 

当然、完成工事報告書に記載され、工事関係者の中で情報の共有化が図られます。この情報が、単に工事部門内で完結するのではなく、全社で活用できる形で蓄積されることが重要です。

 

営業への実績単価フィードバック

 

次に営業は、新たな見積案件に対して、データベースにアクセスし、過去の工事実績情報を入手します。

 

実績単価を参照することで、見積精度の高い積算を迅速に行うことができます。「この作業は過去に○○円で施工できた」という根拠があれば、自信を持って価格設定ができます。

 

確度の高い実行予算作成

 

工事部門は、受注した案件に対して、積算情報および積算根拠に使用した工事情報を基に、確度の高い実行予算を作成します。

営業が厳しい価格で受注した場合、どの作業で気をつけなければならないのかが事前に分かります。重点管理すべきポイントを把握した上で、実行予算を組み、工事に臨むことができます。

 

確度の高い実行予算を基に工事を行い、実績情報を収集する。このワークフローの繰り返しによって、厚みのある信頼性の高い工事情報ならびに積算情報が蓄積されることになります。

 

WBS(積算・予算体系)と標準化の重要性

 

情報を活用するためには、その前提として「比較できる形」で情報が整理されている必要があります。

 

情報をぶれないようにする

 

仕事を細分化するにあたって、プロジェクトマネジメントでは、WBS(Work Breakdown Structure)の構造を持てと言っています。建設業では、積算・予算体系がこれにあたります。

論理構造として、最上位のレベル1から最下層のワークパッケージまでの階層を作成し、同じ構造を共有化することです。そのことによって、他の仕事同士を比較できるようになります。

 

工事Aと工事Bで、同じ「土工」という工種でも、細目の構成が異なっていては比較ができません。WBSを統一することで、初めて実績単価の比較・分析が可能となります。

 

社内標準単価の考え方

 

工事の実績単価の基になる資源(材料費、機械経費、職種別労務費等)単価が各人で違うようであれば、比較検討できません。

たとえば、作業員単価を1万円と2万円では、単純に倍半分の違いが工事実績単価に反映されてしまいます。

 

そこで、社内標準単価の考え方が必要となってきます。資源単価を統一した基準で設定することで、工事間・現場間の比較が可能となり、実績単価が意味のある情報として活用できるようになります。

 

実行予算管理システム「MIYABI」のご紹介

 

ニックスジャパンが提供する実行予算管理システム「MIYABI」は、営業部門と工事部門が同一のデータベースにアクセスし、必要な情報を得る仕組みを備えています。

MIYABIでは、以下の機能により情報の一元管理と共有を実現します。

  • 営業部門から過去の工事実績情報にダイレクトにアクセス
  • 過去の類似工事を簡単に検索
  • 積算情報と工事実績情報の紐付け管理
  • WBSに基づく統一されたデータ構造

これらの整備がされることにより、営業は機動性に富み、かつ利益確保を自在にこなす体制を得ることとなります。

 

一元管理されたデータベースから情報のやりとりを行うことが、戦略的な積算の実現には不可欠です。

次回予告

 

次回は「コストダウンを達成する条件」として、意識改革がすべての出発点であることを解説します。

 

どんなに優れたシステムやしくみがあっても、コストを下げるという強い意識がなければコストダウンは達成できません。トップから末端まで意識を共有するための環境整備について考えていきます。