建設工事において、原価管理は工事の採算性を確保し、赤字を防ぐための最も重要な業務の一つです。実行予算を立てても、実際の支出を管理しなければ、工事が終わってから「予算を大幅にオーバーしていた」と気づくことになります。
このページでは、建設業の経営管理を約30年支援し、EVM(Earned Value Management)理論を全面的に採用しているニックスジャパンが、原価管理の基本から実践的な方法まで、分かりやすく解説します。
この記事で解説する内容:
原価管理とは、実行予算と実際の支出(原価)を比較し、工事が赤字になっていないかを逐次確認することです。
建設工事では、材料費、労務費、外注費、機械経費、その他経費など、さまざまなコストが発生します。これらを適切に管理できなければ、利益を確保することはできません。
💡 ポイント
原価管理は、単に「いくら使ったか」を記録するだけではありません。予算と実績の差(差異)を定期的にチェックすることで、予算超過や赤字を早期に発見し、対策を打つことが最も重要です。
原価管理では、PDCAサイクルを回すことが重要です。

1. Plan(計画)
2. Do(実行)
3. Check(確認)
4. Action(改善)
このPDCAサイクルを継続的に回すことで、工事の採算性を確保できます。
原価管理をしないと、以下のような問題が起こります:
❌ 原価管理をしない場合:
✅ 原価管理をしっかり行うと:
建設業では、工事が進行してから原価を把握しても、多くの場合すでに手遅れです。
理想は日々の原価管理ですが、以下の理由から月次管理が一般的です:
実務的には月次管理を基本とし、重要工事は週次確認することを推奨します。
ニックスジャパンが約30年の建設業支援経験から提唱する、原価管理には大きく分けて2つの目的があります。それぞれの目的を理解し、適切に使い分けることが重要です。

特徴:
目的: 決算や税務申告のために、正確な原価を確定する
処理の流れ:
請求書受領 → 支払処理 → 会計仕訳 → 工事別振分 → 決算書作成
特徴:
目的: 工事原価の発生状況を確認し、赤字になっていないかを早期に判断する
処理の流れ:
請求書受領 → 工種別振分 → 予算実績対比 → 差異分析 → 対策検討
原価管理は、以下の5つのステップで進めます
まず、工事を受注したら実行予算を作成します。実行予算では、工種別に「いくらかかるのか」を詳細に積算します。
実行予算作成のポイント:
工事が始まったら、請求書などの原価データを記録していきます。
記録すべき原価データ:
重要なポイント:
毎月、予算と実績を比較し、差異を確認します。
予算実績対比表で確認:
- 当月の原価発生額
- 累計の原価発生額
- 予算に対する消化率
- 予算残額
分析の視点:
予算と実績に差異があった場合、その原因を分析します。
よくある原因:
① 設計変更・追加工事
② 数量の増加
③ 単価の上昇
④ 施工ミス・手戻り
差異の原因が分かったら、すぐに対策を実行します。
対策の例:
⚠️ 重要な注意点
対策は早ければ早いほど効果的です。月次で必ず確認し、問題があればすぐに対策を検討しましょう。
原価管理の頻度について、それぞれのメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。

メリット:
デメリット:
推奨する使い方: 最重要プロジェクトや、リスクの高い工事のみ
メリット:
デメリット:
推奨する使い方: 重要な工事、大型工事
メリット:
デメリット:
推奨する使い方: すべての工事の基本
💡 ニックスジャパンの推奨
月次管理を基本とし、重要工事は週次確認
これが実務的に最もバランスの取れた方法です。日々管理は、最重要プロジェクトやリスクの高い工事に限定することを推奨します。
原価管理の精度を高め、赤字要因の究明を図るためには、工種別に原価を管理することが重要です。
これは、ニックスジャパンが約30年の経験から最も重視してきた考え方でもあります。なぜなら、工事全体の原価だけを見ていても、どこに問題があるのか分からないからです。

工事全体の原価だけを見ていても、どこに問題があるのか分かりません。工種別に原価を管理することで、以下のメリットがあります:
✅ 工種別管理のメリット:
手順:
1. 実行予算を工種別に作成
例:
- 土工:500万円
- コンクリート工:800万円
- 鉄筋工:600万円
- 型枠工:400万円
- その他:200万円
2. 請求書を工種別に振り分け
3. 工種別に予算実績を対比
4. 異常値を発見したら対策
ニックスジャパンでは、プロジェクトマネジメントの国際標準であるEVM(Earned Value Management)理論を全面的に採用しています。
EVM理論は、約30年にわたり建設業の工事管理に応用してきた、ニックスジャパンの中核的な考え方です。

EVM(Earned Value Management)は、予算(PV)、出来高(EV)、原価(AC)の3つの指標を使い、工事の進捗と採算性を同時に把握するプロジェクトマネジメント手法です。
3つの指標:
PV(Planned Value:計画値)
EV(Earned Value:出来高)
AC(Actual Cost:実コスト)
EVMでは、EV(出来高)とAC(原価)を比較することで、工事の健全性を判断します。
✅ 健全な状態:EV ≧ AC
例:出来高3,000万円 ≧ 原価2,800万円
→ 予定通り利益が出ている
⚠️ 要注意:EV < AC
例:出来高2,500万円 < 原価2,800万円
→ このままだと赤字になる可能性
→ すぐに対策が必要
💡 ニックスジャパンの強み
MIYABIでは、EVM理論に基づく分析資料を自動作成し、工事の進捗状況と採算性を「見える化」します。
月次の金額に換算した工事の進捗状況を把握でき、予算、出来高、原価を日々算出して対比することにより、工事の進捗状況をモニタリングできます。
ニックスジャパンでは、EVM理論を以下のように実務に応用しています:
1. 月次での確認
2. 将来予測
3. 問題の早期発見
原価は把握しているつもりでも、実際には「利益がどこで崩れているか」まで見えていないケースが多くあります。
・原価は集計しているが、タイミングが遅い
・出来高とつながっていない
・予算との差が見えていない
この状態では、正しい判断ができません。
原価管理をエクセルで行うか、システムで行うか。それぞれのメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。
メリット:
デメリット:
推奨する使い方: 小規模工事、工事数が1~2件程度
メリット:
デメリット:
推奨する使い方: 中規模~大規模工事、複数工事の管理
💡 結論
複数工事や大規模工事では、システム管理を推奨
MIYABIでは、自動集計、EVM分析、月次処理時間80%削減を実現しています。
A: はい、月次での確認が基本です。工期が長い工事ほど、月次での確認が重要です。
理想は日々管理ですが、工数の問題や段取り日などの制約から、実務的には月次管理が標準です。
短期工事(1~2ヶ月)の場合は、完成時に確認でも構いませんが、長期工事で月次確認をしないと、問題発見が遅れ、対策が間に合わなくなります。
推奨:
A: 出来高調書は、原価管理の一環として作成する書類です。
関係性:
長期工事では、協力会社の月次出来高を確認し、出来高調書を作成して支払い金額を確定します。この支払い金額が原価となり、予算と比較します。
A: 積算体系と実行予算体系は、根本的に異なります。
積算体系と実行予算体系の違い
積算体系 = 「構築物を作るための体系」
- 国土交通省の積算基準に基づく
- 構造物の部位・部材ごとに分類
実行予算体系 = 「どのように構築物を作るかの体系」
- 工事の進行順序に沿って整備
- 積算にない工種が出てくる
- 施工方法に応じた分類
工種分類のポイント
- 見積書(積算体系)と実行予算の工種分類はある程度共通しているが、細部では異なる
- 実行予算体系では、工事進行順に工種・種別・細目が整備される
- 過去の工事と比較できるよう、ある程度標準化する
- あまり細かくしすぎると管理が煩雑になる
A: まず、原因を特定することが重要です。
対応フロー:
1. 原因を特定する
↓
2. 原因別に対策を検討
・設計変更 → 発注者と協議
・数量増 → 施工方法見直し
・単価上昇 → 調達先見直し
・施工ミス → 原因究明と再発防止
↓
3. 対策を実行
↓
4. 効果を確認(翌月)
最も重要なのは、早期に発見し、早期に対策を打つことです。月次管理を徹底し、EVMで赤字の兆候を早期に捉えましょう。
A: 長期工事の場合、月次で出来高を確認し、出来高調書を作成して支払い金額を確定します。
管理のポイント:
短期工事(1~2ヶ月)の場合は、完成後に一括で支払うことが一般的です。
A: EVM理論の概念自体はシンプルです。
考え方:
出来高(EV) ≧ 原価(AC)なら健全
出来高(EV) < 原価(AC)なら要注意
この基本を押さえれば、工事の健全性を判断できます。
MIYABIでは、EVM分析を自動で行い、分かりやすいグラフで表示するので、専門知識がなくても使えます。
この基本を押さえれば、工事の健全性を判断できます。
MIYABIでは、EVM分析を自動で行い、分かりやすいグラフで表示するので、専門知識がなくても使えます。
原価管理は、建設業で利益を確保し、赤字を防ぐための最も重要な業務です。
この記事のポイント:
正確な原価管理により、工事の採算性を確保し、会社の収益性を高めましょう。
原価管理は「記録」ではなく「判断」のためのものです。
ただし、原価だけを見ていても、利益は見えません。
・出来高
・実行予算
・原価
これらがつながって初めて、経営判断が可能になります。
一度、現在の管理状況を整理してみてください。
このような管理を実現するためには、仕組みとして一体で管理することが重要です。
その一つの方法として、システムを活用するケースもあります。
MIYABIの特徴:
お問い合わせ:
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