代価表作成の目的とその利用法

 

代価表の目的とその利用法が、本当に理解されているでしょうか。おろそかにされていることが少なくありません。

この代価表が、その企業の力であり、他社と差別化できる根源であると言えます。

 

一位代価表とは?実行予算の単価を正確に算出する方法

 

実行予算を作成する際、「この作業の単価はいくらだろう?」と悩むことはありませんか?

**代価表(だいかひょう)**は、作業の単価を材料費・労務費・機械経費に分解して積み上げることで、正確な単価を算出するための表です。別名「代価表」「単価表」とも呼ばれます。

代価表は、内訳書の各単価の算定根拠です。代価表なしでは、単価の正確性や妥当性を説明できません。

 

このページでは、建設業の経営管理を長年支援してきたニックスジャパンが、代価表の基本から作成方法まで、具体例を交えて分かりやすく解説します。

 

代価表とは?基礎知識

 

代価表は、一位代価表と二位代価表に分けて捉えます。一位代価表で構成できない場合、二位代価表でさらに詳しく記載します。

 

代価表とは、ある作業の単価を、材料費・労務費・機械経費などに分解して積み上げ、合計単価を算出する表のことです。

【例】コンクリート1m³打設の一位代価表

項目 規格 数量 単位 単価(円) 金額(円)
材料費          
生コンクリート 21-18-25 1.00 15,000 15,000
労務費          
普通作業員   0.50 人工 20,000 10,000
機械経費          
コンクリートポンプ車   0.20 50,000 10,000
合計         35,000

 

このように、1m³あたり35,000円という単価が算出されます。

 

代価表の構造

 

代価表には「一位代価表」と「二位代価表」があり、上下の階層構造になっています。

一位代価表(いちいだいかひょう): 上位に位置する表。工事の各作業の単価を、材料費・労務費・機械経費に分解して算出します。例:コンクリート打設 1m³あたり○○円

二位代価表(にいだいかひょう): 一位代価表の下位に位置する表。一位代価表の構成要素をさらに詳しく明細化したものです。例:一位代価表に含まれる「型枠加工」の単価をより詳細に内訳する表

 

つまり、一位代価表で示した単価の根拠を、さらに細かく示すのが二位代価表です。実務では、まず一位代価表を作成し、必要に応じて二位代価表で詳細を補います。

 

なぜ一位代価表が必要なのか

 

❌ 一位代価表がないと...

  • 単価の根拠が不明確 → なぜこの単価なのか説明できない
  • 予算の精度が低い → 勘や経験だけで単価を決めると誤差が大きい
  • 過去との比較ができない → データが蓄積されず、次の工事に活かせない
  • 原価分析ができない → 材料・労務・機械のどこにコストがかかっているか分からない

✅ 一位代価表があると...

 

  • 単価の根拠が明確 → 材料・労務・機械の内訳が分かる
  • 予算の精度が向上 → 積み上げ方式で正確な単価を算出
  • 過去データを蓄積 → 歩掛や単価を記録し、次の工事に活用
  • 原価分析が可能 → どこにコストがかかっているか一目瞭然

一位代価表と実行予算の関係

 

一位代価表は、実行予算の単価を算出するための算定根拠資料です。

関係のイメージ:

実行予算書 └─ 工種別内訳表   ├─ 土工: 100m³ × 5,000円 = 500,000円   ├─ コンクリート工: 50m³ × 35,000円 = 1,750,000円   └─ 鉄筋工: 5t × 150,000円 = 750,000円       ↑    この単価の算定根拠が「一位代価表」

作業の流れ:

 

  1. 一位代価表を作成 → 単価を算出
  2. 実行予算に単価を入力 → 工種別の予算を計算
  3. 原価管理 → 予算と実績を比較

一位代価表の構成要素

 

① 材料費 作業に必要な材料の費用です。 計算式:材料費 = 材料数量 × 材料単価 ポイント:ロス率を考慮する(通常5〜10%)。運搬費が含まれるか確認。

② 労務費 作業に必要な作業員の人件費です。 計算式:労務費 = 歩掛(人工数) × 日当 「歩掛(ぶがかり)」とは、ある施工単位を完了させるための投入資源の量(工数)のことです。詳しくは後述の「歩掛とは?」を参照。

③ 機械経費 作業に必要な機械のリース料や燃料費です。 計算式:機械経費 = 機械使用量 × 機械単価 ポイント:リース料には運搬費・オペレーター代が含まれるか確認。稼働時間に応じて按分する。

 

④ その他経費 通常、材料費・労務費・機械経費の合計に一定率(5〜10%)を掛けて算出します。

 

一位代価表の作り方(5ステップ)

 

ステップ1: 作業内容を明確にする どの作業の単価を求めるのかを明確にします。単位(m³、m²、t、mなど)と作業範囲(打設のみか、養生まで含むか)を明確にします。

 

ステップ2: 必要な材料をリストアップする 例(コンクリート打設):生コンクリート(21-18-25)、養生シート、離型剤。主材料だけでなく副材料も忘れずに。ロス率を考慮する。

ステップ3: 必要な労務を算出する 方法:

 

  1. 過去の実績データを使う — 最も正確
  2. 社内のベテラン現場代理人に聞く — 実践的なノウハウを得る
  3. 標準歩掛を参考にする — 最終手段として活用

ステップ4: 必要な機械をリストアップする 例(コンクリート打設):コンクリートポンプ車 0.20台、バイブレーター 0.10台。機械の稼働時間を正確に見積もり、リース料に含まれるものを確認する。

 

ステップ5: 単価を入力し、合計を計算する

項目 規格 数量 単位 単価(円) 金額(円)
材料費          
生コンクリート 21-18-25 1.00 15,000 15,000
養生シート   0.10 500 50
離型剤   0.05 L 1,000 50
労務費          
普通作業員   0.50 人工 20,000 10,000
機械経費          
コンクリートポンプ車   0.20 50,000 10,000
バイブレーター   0.10 5,000 500
その他経費(5%)         1,780
合計         37,380

 

コンクリート1m³打設の単価:37,380円/m³

 

歩掛(ぶがかり)とは?設定方法

 

**歩掛(ぶがかり)**とは、**ある施工単位を完了させるための投入資源の量(工数)**のことです。

例: コンクリート型枠 10m² を組み立てるのに型枠工 1人 × 1日 = 1.0人工 → 歩掛:0.1人工/m²

 

歩掛を使った労務費の計算: 型枠 100m² の労務費 = 100m² × 0.1人工/m² × 20,000円 = 200,000円

 

歩掛の設定方法

 

方法1:過去の実績データを使う(最も正確) 過去の類似工事のデータを確認し、実際に何人工かかったか記録から平均値を算出して設定する。

 

方法2:社内のベテラン現場代理人に聞く 過去の経験から正確な歩掛を把握している。実践的なノウハウを得られる。

 

 

方法3:標準歩掛を参考にする(最終手段) 国土交通省「土木工事標準歩掛」などを参照。自社条件を考慮して調整し、実績が蓄積されたら自社の標準歩掛に更新する。

 

歩掛の変動要因

 

  • 現場条件(狭い現場、高所作業など)
  • 作業員の習熟度(ベテランか新人か)
  • 天候(雨天、猛暑など)
  • 施工方法(手作業か機械か)
  • 作業量(少量か大量か)

歩掛について、詳しく説明するページを用意しています。→


一位代価表作成の実例

 

実例1: コンクリート打設(1m³あたり)

項目 規格 数量 単位 単価(円) 金額(円)
材料費          
生コンクリート 21-18-25 1.00 15,000 15,000
養生シート   0.10 500 50
離型剤   0.05 L 1,000 50
労務費          
普通作業員   0.50 人工 20,000 10,000
機械経費          
コンクリートポンプ車   0.20 50,000 10,000
バイブレーター   0.10 5,000 500
その他経費(5%)         1,780
合計         37,380

単価: 37,380円/m³


実例2: 鉄筋組立(1tあたり) 

項目 規格 数量 単位 単価(円) 金額(円)
材料費          
鉄筋(D13)   1.05 t 80,000 84,000
結束線   5.00 kg 200 1,000
労務費          
鉄筋工   2.00 人工 25,000 50,000
普通作業員   0.50 人工 20,000 10,000
機械経費          
ラフタークレーン   0.50 30,000 15,000
その他経費(5%)         8,000
合計         168,000

単価: 168,000円/t


実例3: 型枠組立(1m²あたり) 

項目 規格 数量 単位 単価(円) 金額(円)
材料費          
合板 12mm 0.11 1,200 132
角材 45×90 1.50 m 150 225
釘・金物   1.00 100 100
労務費          
型枠工   0.10 人工 22,000 2,200
普通作業員   0.05 人工 20,000 1,000
機械経費          
丸鋸   0.05 2,000 100
その他経費(5%)         188
合計         3,945

 

単価: 3,945円/m²

 

一位代価表作成のポイント

 

ポイント1: 過去のデータを蓄積する 最も重要なのは、自社の過去データを蓄積することです。工種・種別ごとの歩掛、材料の実際の使用量とロス率、機械の実際の稼働時間、予算と実績の差異を記録し続けることで、自社独自の精度の高い一位代価表が完成します。

 

ポイント2: 定期的に見直す 材料価格や労務費は変動するため、年1回(年度初め)または材料価格・労務費の相場が変動したときに単価を見直します。

 

ポイント3: 現場条件を考慮する 標準歩掛をそのまま使うのではなく、現場条件に応じて調整します。

  • 狭い現場 → 歩掛を1.2〜1.5倍に
  • 高所作業 → 歩掛を1.3〜1.5倍に
  • 夏場の屋外作業 → 歩掛を1.1〜1.2倍に

 

ポイント4: テンプレート化する よく使う作業の一位代価表はテンプレート化しておくと効率的です。コンクリート打設、鉄筋組立、型枠組立、土工(掘削・埋戻し)、左官工事などが対象です。

 

よくある質問(FAQ)

 

Q1. 一位代価表は誰が作成すべきですか?

A: 現場代理人が作成します。 積算担当者が作成すると、見積書と同額になってしまい、実行予算を作る意味がありません。専門工事についても、協力会社に提示を求めるのは避けるべきです。以下の順序で社内で検討します。

  1. 社内資料を探す(過去の代価表を確認)
  2. ベテランの現場代理人に聞く
  3. 工事部長と相談する

これにより、自社のノウハウが蓄積され、競争力が高まります。


Q2. 一位代価表はすべての作業で作成すべきですか?

A: すべてではなく、金額の大きい主要な作業について作成します。優先順位は①金額の大きい工種、②過去データがない工種、③単価の根拠を示す必要がある工種の順です。少額の工種は過去の実績単価を使っても問題ありませんが、協力会社の見積もりをそのまま使うのは避けるべきです。


Q3. 標準歩掛はどこで入手できますか?

A: 標準歩掛の使用は推奨しません。 社内に実績データがない場合の最終手段です。標準歩掛に頼ると、自社の競争力の源泉である「歩掛のノウハウ」が蓄積されません。それでも必要な場合は以下を参照してください。

  • 国土交通省「土木工事標準歩掛」(https://www.mlit.go.jp/)
  • 国土交通省「建築工事標準歩掛」
  • 建築コスト管理システム研究所(RIBC)
  • 経済調査会「積算資料」(有料)
  • 建設物価調査会「建設物価」(有料)

使った場合は必ず実績を記録して、次回は自社データを使いましょう。


Q4. 一位代価表の精度はどれくらい必要ですか?

A: 一般的には誤差±10%以内を目標とします。工事の規模が大きいほど精度が求められ、過去の実績データがあれば精度は上がります。


Q5. 一位代価表と実行予算はどう連携しますか?

A: 一位代価表で算出した単価を実行予算に入力します。

  1. 一位代価表を作成 → コンクリート打設:37,380円/m³
  2. 実行予算に単価を入力 → コンクリート工:100m³ × 37,380円 = 3,738,000円
  3. 原価管理 → 予算3,738,000円 vs 実績3,850,000円 → 差異112,000円

 

一位代価表があることで、単価の根拠が明確になり、原価分析がしやすくなります。

 

実行予算について、詳しく説明するページを用意しています。→


まとめ

 

一位代価表は、実行予算の単価を正確に算出するための重要な資料です。

作成のポイント: 

  • 材料・労務・機械に分解して積み上げる
  • 歩掛(必要な人工数)を正確に設定する
  • 過去の実績データを活用する(標準歩掛は最終手段)
  • 現場条件を考慮して調整する
  • よく使う作業はテンプレート化する

現状の管理状況の整理

 

代価表は、単なる単価表ではありません。現場の管理を見ていると、
単価については「なんとなく使われている」ケースも少なくありません。

・過去の単価をそのまま使っている
・現場ごとにばらつきがある
・根拠が曖昧になっている

この状態で、出来高や原価は、正しく見えているでしょうか。

 

出来高は「単価 × 数量」で決まります。実行予算も、その単価をもとに組まれます。
原価は、そのズレとして現れます。

単価が曖昧なままでは、すべてが少しずつズレていきます。

 

それぞれは間違っていないのに、なぜか利益が見えない。

そのような状態も、少なくありません。

 

一度、現在の管理状況を整理してみると、見えてくることがあります。

より効率的な予算管理をお考えの方へ

 

ニックスジャパンのMIYABIは、一位代価表の作成から実行予算、原価管理まで一元管理できるシステムです。

MIYABIでできること:

  • 一位代価表をデータベース化
  • 過去の単価を簡単に検索・流用
  • 一位代価表から実行予算へ自動反映
  • 予算と実績をリアルタイムで比較 

→ MIYABIについて詳しく見る(https://www.nics-japan.com/miyabi/)

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