⏱️ この記事で分かること(読了時間:約6分)
✅ 経営者に求められる不退転の決意とは
✅ 「仏を作って、魂入れず」にならないための心構え
✅ 社員のコスト意識を高める正しい評価制度
✅ 実行予算の精度評価と年間トータル評価の方法
✅ 経営者が把握すべき工事情報
経営者に求められる不退転の決意
工事管理は、何のために行うのでしょうか。当初計画された事業計画を達成するために、そして更なるコストダウンを実現するために行うものです。
経営者の工事管理における取り組みで最も重要なことは、事業計画の達成およびコストダウンに対する不退転の決意です。
管理業務の本質
工事管理を始めとする管理業務というものは、どれも面倒なものです。やらなくて済むのであれば、それに越したことはありません。現場代理人も、工事部門長も、できれば手間のかかる管理業務は避けたいと思うのが本音でしょう。
しかし、ここで経営者がどのように考えているかが重要です。経営者の一挙手一投足を、社員は注意深く観察しています。
経営者が「まあ、このくらいでいいか」と妥協すれば、その姿勢は必ず社員に伝わります。逆に、経営者が徹底してコストダウンにこだわる姿勢を見せれば、社員もそれに応えようとします。
意識がすべての出発点
私の結論としては、コストダウンを実現するための第一歩は「意識」に尽きると思います。
どんなに優れた管理手法でも、使う人に情熱がなければ、ただの仕組みに過ぎません。逆に情熱がある人は、仕組みがなくともそこそこに、想いは達成されるものです。
経営者自身がコストダウンに対する強い意識を持ち、その姿勢を日々の言動で示し続けること。これが組織全体のコスト意識を高める出発点となります。
「仏を作って、魂入れず」にならないために
皆さんの会社では、「仏を作って、魂入れず」になっていないでしょうか。
立派な管理システムを導入した。毎月の工事会議も実施している。実行予算書のフォーマットも整備した。しかし、それらが形骸化し、本来の目的であるコストダウンや利益確保につながっていない。そんな状況に陥っている企業は少なくありません。
形だけの管理になっていないか
工事会議で報告される数字を、経営者はどこまで真剣に見ているでしょうか。問題のある現場に対して、具体的な指示を出しているでしょうか。
報告を聞くだけで終わり、「頑張ってくれ」という抽象的な激励だけで済ませていないでしょうか。これでは、いくら立派な仕組みがあっても機能しません。
経営者の本気度が試される
経営者の本気度は、問題が発生したときの対応に表れます。
赤字現場が発生したとき、原因を徹底的に追究しているでしょうか。同じ失敗を繰り返さないための対策を講じているでしょうか。問題のある現場代理人に対して、厳しくも適切な指導を行っているでしょうか。
これらの対応を通じて、社員は経営者の本気度を感じ取ります。経営者が本気であれば、社員も本気になります。
正しい評価制度の構築
コスト意識を持つ。簡単なようで簡単ではないのが、この意識の持たせ方です。
経営者のコスト意識があることを前提として、それでは社員の意識を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。それは正しい評価しかありません。
評価制度に求められる要件
正しい評価制度には、以下の要件が求められます。
- 正しい評価が為されているか
- 評価の内容がオープンになっているか
- 誰でも納得できる評価を実施しているか
曖昧な基準や、好き嫌いによる評価では、社員のモチベーションは上がりません。数字に基づいた客観的な評価こそが、社員の納得を得られる評価です。
PDCAサイクルの実施状況を評価する
工事現場の責任者を正しく評価するためには、P(計画)D(実行)C(チェック)A(アクション)の管理サイクルが確実に実施されているかどうかを評価することです。
そのためには、実行予算が欠かせません。
実行予算の精度評価
まず、実行予算の作成から評価は始まります。ここで重要なのは精度です。
精度とは何か
精度とは、計画と実績に乖離幅がないことです。
実現の可能性の低い、上司を喜ばせるための予算書を作成していないでしょうか。「これだけの利益が出ます」と報告するために、根拠のない楽観的な数字を並べていないでしょうか。
信頼性の高い実行予算を作成しているか否か。まず、ここを評価することが重要です。
予算精度の評価方法
具体的には、以下のような観点で評価します。
予算と実績の乖離率を確認します。常に予算を大幅に下回る実績しか出せない現場代理人は、予算作成の精度に問題があります。逆に、常に予算を大幅に上回る実績を出す現場代理人も、予算が保守的すぎる可能性があります。
適切な精度の予算を作成できる能力は、現場代理人として重要なスキルの一つです。
年間トータルでの評価
次に最も重要なのは実績です。
工期が遵守されるのは当然として、実行予算を達成できたのか、実績単価はどうであったのか。各工事毎には報告が為され評価しているようですが、年間での人事考課に反映されているとは言い難い企業が多いようです。
1物件ではなく年間トータルで見る
重要なのは、1物件毎ではなく、一人の工事責任者における年間トータルの工事損益状況を評価することです。
1つの工事だけを見れば、運不運もあります。難しい条件の工事を担当することもあれば、比較的やりやすい工事を担当することもあります。
しかし、年間を通じて複数の工事を担当すれば、運不運は平準化されます。年間トータルで見たときに、常に利益を出せる現場代理人と、常に赤字を出す現場代理人の差は明確になります。
人事考課への反映
この年間トータルの工事損益を、人事考課に明確に反映させることが重要です。
利益を出した現場代理人には相応の評価を与え、赤字を出した現場代理人には改善を求める。この当たり前のことが、当たり前に行われている企業は意外と少ないのが現状です。
数字に基づいた明確な評価が行われることで、社員のコスト意識は自然と高まっていきます。
経営者が把握すべき情報
経営者は、工事の状況をどこまで把握すべきでしょうか。
全社レベルの情報
まず、日々の全社工事集計を把握する必要があります。全社の出来高、原価、損益がどのような状況にあるのか。事業計画に対して順調に推移しているのか。これらを常に把握しておく必要があります。
個別工事レベルの情報
次に、必要に応じて個別の工事状況まで把握できる体制が求められます。
全社の数字に問題が見られたとき、どの工事が原因なのかを特定できなければ、対策を講じることができません。経営者が必要と判断したときに、すぐに個別工事の詳細情報にアクセスできる環境が必要です。
階層に応じた情報提供
経営者、工事部門長、現場代理人、それぞれの階層で必要な情報は異なります。
経営者には全社レベルの集約情報を、工事部門長には担当現場の詳細情報を、現場代理人には日々の作業レベルの情報を。それぞれの責任範囲に応じた情報が、適切なタイミングで提供される仕組みが求められます。
MIYABIによる全社管理
予算精度の評価機能
MIYABIでは、工事予算の精度評価が可能です。予算と実績の乖離を自動集計し、現場代理人ごとの予算精度を可視化します。
年間実績の集計機能
各現場代理人毎に年間の実績(損益)をアウトプットし、人事考課の評価資料を作成します。1物件ごとの評価ではなく、年間トータルでの評価を可能にします。
階層別の情報提供
経営者から現場代理人まで、それぞれの階層に応じた情報を提供します。経営者は全社の状況を俯瞰し、必要に応じて個別工事の詳細まで掘り下げることができます。
まとめ
経営者の工事管理における取り組みで最も重要なのは、コストダウンに対する不退転の決意です。経営者の姿勢は、必ず社員に伝わります。
「仏を作って、魂入れず」にならないよう、経営者自身が本気でコストダウンに取り組む姿勢を示し続けることが重要です。
また、社員のコスト意識を高めるためには、正しい評価制度が不可欠です。実行予算の精度評価、年間トータルでの工事損益評価を人事考課に明確に反映させることで、社員は自然とコストを意識するようになります。
経営者が必要な情報を必要なときに把握できる体制を整え、組織全体でコストダウンに取り組む。これが、利益を確保し続ける建設会社の姿です。
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次回予告
次回は「実行予算管理の本質|会社と現場代理人との誓約書」をお届けします。実行予算の3つの本質と、なぜ現場責任者自身が作成すべきなのかを解説します。

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