工事日報は重要なのに、 なぜ毎日書かれにくいのか
工事日報は、建設現場にとって大切な資料です。
その日に、どの現場で、誰が、どのような作業を行ったのか。
どの機械が動いたのか。
どれだけ施工が進んだのか。
どのような問題や変更があったのか。
こうした情報を残す工事日報は、発注者への提出資料であると同時に、会社にとっても重要な管理資料です。
しかし実際の現場では、工事日報が毎日きれいに整理されているとは限りません。もちろん、毎日きちんと作成し、提出している会社もあります。
一方で、現場責任者の野帳には日々の情報が残っているものの、正式な工事日報としては1週間分をまとめて作成する、忙しい時期には月末近くに整理する、という運用になっている現場もあります。
これは、現場責任者が日報を軽く見ているからとは限りません。
現場責任者は、日々の現場管理に追われています。
発注者対応、協力会社との調整、安全管理、写真管理、出来形管理、翌日の段取り、各種提出資料の作成。
その中で、工事日報まで毎日一から作成するのは、大きな負担になります。
この記事では、工事日報の意義をあらためて整理しながら、なぜ日報が後回しになりやすいのか、そして日報作成の負担をどう減らせるのかを考えます。
工事日報は、現場責任者による日々の活動記録
工事日報は、単なる作業記録ではありません。
現場責任者が、その日の現場をどう見て、何を残したかを示す活動記録です。
工事日報には、次のような情報が記載されます。
・作業内容
・作業場所
・作業員名
・人数
・機械名
・台数
・施工数量
・稼働時間
・天候
・現場条件
・発生した問題
・翌日への申し送り
これらは、現場の1日を会社に残すための大切な情報です。
後から見返したときに、
「この日に何をしていたのか」
「どの作業が進んだのか」
「なぜ予定より進まなかったのか」
「どの機械が動いていたのか」
「どのような問題が起きていたのか」
を確認する資料になります。
特に、工事が長くなるほど、日々の記録は重要になります。
人の記憶は曖昧になります。
しかし、日々の記録が残っていれば、後から状況を確認できます。
工事日報は、現場の記憶を会社に残す資料です。
工事日報を読むと、現場に行かなくても状況が見えてくる
以前、ある売上20億円規模の元請会社の会長が、社長職を譲られた後も、赤鉛筆を片手に、毎日丹念に各現場の工事日報を読んでおられました。その会社は、地元でも知られた黒字の優良企業でした。
この姿を見て、強く感じたことがあります。
それは、現場に行かなくても、工事日報を通じて現場を見ることはできる ということです。
もちろん、現場に行かなければ分からないことはあります。
現場の空気、作業の進み具合、協力会社の動き、段取りの良し悪しは、実際に現地で見ることも大切です。
しかし、経営者や工事トップが毎日すべての現場へ行くことはできません。
だからこそ、工事日報が重要になります。
工事日報を丹念に読むと、次のような変化に気づけます。
・同じ作業が何日も続いている
・予定より施工数量が進んでいない
・作業員や機械の投入が増えている
・天候や現場条件に影響を受けている
・手待ちや段取り替えが発生している
・翌日への申し送りが増えている
工事日報は、現場を監視するための資料ではありません。
現場を見てあげるための資料です。
経営者や工事トップが日報を読んでいれば、現場も自然と意識します。
「見られている」
「気にかけられている」
「現場の動きが確認されている」
この意識は、現場の緊張感や生産性にもつながります。
工事日報は、原価管理・勤怠整理・歩掛確認の基礎データ
工事日報は、その日の記録で終わるものではありません。日報に残された情報は、会社の管理資料として使われます。
現場原価管理の基礎になる
現場原価を確認するには、どの現場に、どれだけ人や機械が入ったのかを把握する必要があります。
作業員が何時間入ったのか。
機械が何時間動いたのか。
協力会社やリース機械がどの現場で使われたのか。
こうした情報がなければ、現場別の原価は見えにくくなります。
工事日報が早く整っていれば、現場別の稼働時間や原価の確認も早くなります。
逆に、日報化が遅れると、原価確認も後追いになります。
原価管理は、締めてから見るだけでは遅いことがあります。
途中で気づき、途中で手を打つためにも、工事日報の情報は重要です。
勤怠整理にもつながる
工事日報には、作業員の出面や稼働時間に関する情報も含まれます。誰が、どの日に、どの現場で、どれだけ働いたのか。
この情報は、勤怠整理にもつながります。
特に、複数現場を同時に動かしている会社では、作業員がどの現場に入ったのかを整理することが重要です。
日報化が遅れると、勤怠整理も遅れやすくなります。
歩掛確認の基礎データにもなる
歩掛は、日々その場で細かく判断するというより、一連の作業が終わった後に振り返るものです。
ある施工数量に対して、どれだけの人・機械・時間がかかったのか。
予定していた歩掛と、実際の歩掛にどれだけ差があったのか。
次の見積や実行予算に、どのように活かすべきか。
このような振り返りを行うには、日々の施工数量や稼働時間が必要です。
つまり、工事日報は、後から実績歩掛を確認するための基礎データにもなります。
日々の記録が曖昧だと、後から歩掛を分析しようとしても、判断材料が不足します。
それでも、工事日報は後回しになりやすい
これほど重要な工事日報ですが、現場では後回しになりやすい資料でもあります。
その理由は、現場責任者が日報を軽く見ているからとは限りません。
現場責任者は、毎日多くの業務を抱えています。
発注者との打合せ。
協力会社との調整。
安全管理。
写真管理。
出来形管理。
材料や機械の手配。
翌日の段取り。
各種提出資料の作成。
現場で起きる予定外の対応。
このような仕事をこなしながら、工事日報も作成しなければなりません。
現場責任者の野帳には、工事日報に必要な情報が書かれていることが多いものです。
その日の作業内容。
入場した作業員。
使用した機械。
施工数量。
天候。
発生した問題。
翌日への申し送り。
現場の実態は、野帳には残っています。
しかし、その野帳を基にした工事日報の作成が、1週間分まとめて行われることがあります。
場合によっては、月末近くになってから整理されることもあります。
これは、記録がまったくないという話ではありません。
ただ、会社として日々の原価確認や勤怠整理に使える資料になるまでに、時間がかかってしまうという問題です。
毎日同じ項目を書くことが、日報作成の負担になる
工事日報には、多くの情報を記載します。
作業員名。
人数。
機械名。
台数。
作業内容。
作業場所。
施工数量。
稼働時間。
特記事項。
もちろん、どれも大切な情報です。
しかし実務では、作業員名、人数、機械名、台数など、毎日ほぼ同じ内容を書くことも多くあります。
この繰り返しが、現場責任者にとって負担になります。
本来、現場責任者が力を使うべきなのは、その日の現場の変化を見ることです。
施工数量は予定どおりか。
予定外の待ち時間はなかったか。
機械や人員に変更はなかったか。
明日に申し送るべき問題はないか。
ところが、日報の作成そのものに時間がかかると、大切な確認や判断に使う時間が削られます。
工事日報を毎日続けるには、
「重要だから書きなさい」
と言うだけでは不十分です。
現場責任者が書きやすい仕組みが必要です。
野帳は現場責任者の記録、工事日報は会社の管理資料
ここで、野帳と工事日報の役割を分けて考える必要があります。野帳は、現場責任者が現場で使う記録です。
その場で気づいたこと、数量、指示、打合せ内容、明日の段取りなどを残す、現場責任者のための大切な記録です。
一方で、工事日報は、会社として現場を確認し、管理に活かすための資料です。
現場原価管理。
勤怠整理。
工事の進捗確認。
問題発生時の検証。
一連の作業が終わった後の歩掛確認。
こうした管理に使うためには、野帳に残った情報を、できるだけ早く工事日報として整える必要があります。
野帳に記録があるだけでは、会社全体では使いにくい場合があります。
工事日報として整理されて初めて、経営者や工事トップ、総務・経理、工事管理部門が確認しやすい資料になります。
日報化が遅れると、管理資料としての鮮度が落ちる
工事日報は、時間が経ってから作成しても、形としては残せます。
しかし、管理資料としての鮮度は落ちます。
たとえば、1週間前の現場を思い出しながら日報を作成する場合、細かい状況は曖昧になります。
どの時間帯に待ちが発生したのか。
なぜ施工数量が伸びなかったのか。
どの機械が止まったのか。
協力会社との調整で何があったのか。
翌日に申し送るべき問題は何だったのか。
このような情報は、時間が経つほど薄れていきます。
野帳に書いてあっても、正式な日報化が遅れると、会社としての確認も遅れます。
日々の原価確認に使いにくくなる。
勤怠整理が遅れる。
現場の問題に気づくのが遅れる。
後から歩掛を振り返るときの基礎データとしても弱くなる。
だからこそ、工事日報は早く整えることが大切です。
工事日報を毎日残すには、省力化が必要
工事日報の意義を伝えることは大切です。
しかし、意義を伝えるだけでは、現場の負担は減りません。
現場責任者は忙しい。
提出資料も多い。
現場で判断しなければならないことも多い。
その中で、工事日報を毎日続けるには、省力化が必要です。
特に、毎日繰り返し書いている項目を減らすことが重要です。
作業員名。
人数。
機械名。
台数。
作業内容。
作業場所。
これらの情報が、すでに作業予定や人員配置、機械配置の中にあるなら、その情報を日報に活かすべきです。
同じ情報を何度も書くのではなく、すでにある情報を利用して日報の土台を作る。
現場責任者は、当日の変更点や施工数量、特記事項を追記する。
この形にできれば、日報作成のハードルは大きく下がります。
e-番割とKUROJIKAで、日報作成のハードルを下げる
弊社の e-番割 では、作業予定、人員配置、機械配置を整理できます。
その情報を KUROJIKA(工事日報原価管理システム) に取り込むことで、工事日報の土台を自動で作成できます。
つまり、工事日報を一から作るのではなく、作業予定として入力された情報を活かして日報を作成できます。
繰り返し書く情報を、あらかじめ日報に反映する
作業員名。
人数。
機械名。
台数。
作業内容。
こうした主要な情報が、あらかじめ工事日報に入っていれば、現場責任者の負担は大きく減ります。
毎日同じ情報を何度も書く必要がなくなります。
その分、現場責任者は、次のような本当に確認すべき内容に集中できます。
・当日の施工数量
・予定との違い
・変更点
・特記事項
・問題点
・翌日への申し送り
これは、日報を楽にするだけではありません。
日報を管理に使いやすくすることにもつながります。
追記中心にすると、日報が続きやすくなる
日報を一から作る場合、どうしても負担が大きくなります。
しかし、すでに日報の土台ができていて、現場責任者が追記する運用であれば、日報作成の心理的なハードルは下がります。
当日の変更点を直す。
施工数量を入力する。
特記事項を追記する。
問題点や申し送りを書く。
この形であれば、現場責任者は、単純な転記作業よりも、現場の変化を残すことに力を使えます。
日報は、現場責任者に負担をかける資料ではなく、現場を助ける資料にする
工事日報は重要です。しかし、重要だからといって、現場責任者に負担をかけ続ければよいわけではありません。
日報の目的は、現場責任者を苦しめることではありません。
現場の状況を会社に残し、原価管理や勤怠整理に活かし、問題が起きたときに検証し、一連の作業が終わった後には歩掛を振り返るための資料にすることです。
そのためには、日報を毎日続けられる形にする必要があります。
書きやすくする。
繰り返し入力を減らす。
作業予定や配置情報を活かす。
現場責任者は追記中心にする。
このような仕組みを整えることで、工事日報は、単なる提出資料ではなく、現場を助ける管理資料になります。
まとめ
工事日報は、現場責任者の日々の活動記録です。
そして、発注者への提出資料であると同時に、会社にとっては原価管理・勤怠整理・歩掛確認につながる重要な基礎データです。
しかし、現場責任者は日々の管理に忙しく、提出資料も多くあります。
そのため、野帳には必要な情報が残っていても、正式な工事日報としては1週間分まとめて作成されることがあります。
問題は、現場責任者を責めることではありません。
工事日報を毎日残せるように、負担を減らす仕組みを整えることです。
今回のポイントは、次のとおりです。
・工事日報は、現場責任者の日々の活動記録である
・丹念に読むと、現場に行かなくても状況が見えてくる
・工事日報は、原価管理・勤怠整理・歩掛確認の基礎データになる
・野帳には情報が残っていても、日報化が遅れると会社の管理資料として使いにくくなる
・現場責任者は忙しく、毎日同じ項目を書くことが負担になりやすい
・日報を毎日続けるには、書きやすくする仕組みが必要である
・e-番割とKUROJIKAを連携すると、作業予定・人員配置・機械配置から日報の土台を自動作成できる
・現場責任者は、施工数量、変更点、特記事項などを追記する運用にできる
工事日報は、重要な資料です。
だからこそ、現場責任者に「書きなさい」と言うだけではなく、日報を書きやすくする仕組みを用意することが大切です。
工事日報作成の省力化・原価管理のご相談
工事日報を作成していても、現場責任者の負担が大きい。
野帳を基に、後から日報をまとめて作成している。
日報はあるが、原価管理や勤怠整理に十分活かせていない。
日々の施工数量や稼働時間を、もっと管理に使える形で残したい。
このような課題がある場合は、現在の運用を整理することから始める必要があります。
ニックスジャパンでは、工事日報を基点に、稼働時間集計、勤怠整理、現場別原価管理へつなげる KUROJIKA(工事日報原価管理システム) をご提案しています。
また、e-番割 と連携することで、作業予定、人員配置、機械配置の情報からKUROJIKAの工事日報を自動作成し、日報作成の手間を減らすこともできます。
現場責任者の負担を減らしながら、工事日報を会社の管理資料として活かしたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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