利益は、工事管理のムダ・ムラ・ムリから 崩れていく(ゼネコン編)
ゼネコンが見るべき、工事日報・出来高調書・原価報告書のつながり
前回の記事では、専門工事業者の視点から、現場のムダ・ムラ・ムリを取り上げました。
人工は出ているのに、施工数量が進んでいない。
機械が入っているのに、作業が進んでいない。
余分な機械を投入している。
機械配置にムラがある。
工程遅れを取り戻すために機械を詰め込み、かえって作業効率が落ちている。
このような現場のムダ・ムラ・ムリは、専門工事業者にとって、人工、機械費、施工数量の遅れとして表れます。
では、ゼネコン・元請の場合はどうでしょうか。
ゼネコン・元請の場合も、もちろん現場作業のムダは利益に影響します。
しかし、それだけではありません。
ゼネコン・元請の利益は、工事管理のムダ・ムラ・ムリからも崩れていきます。
出来高調書は作成している。
原価報告書も確認している。
実行予算もある。
現場代理人も工事部長も、現場の状況は感覚的に分かっている。
それでも、最後に利益が思ったほど残らないことがあります。
その理由の一つは、工事日報、出来高調書、原価報告書、未処理原価、追加変更が、経営判断の中で十分につながっていないことです。
ゼネコンの原価管理は、現場作業だけでは説明できない
専門工事業者の場合、原価悪化は比較的、現場の作業に直結して見えます。
人工が増えた。
機械費が増えた。
施工数量が進まなかった。
手待ちがあった。
夜間作業が増えた。
このような形で、日報と原価の関係が見えやすくなります。
一方、ゼネコン・元請の場合は、原価悪化の原因がもう少し複雑です。
ゼネコン・元請は、工事全体を管理する立場です。
工程を調整する。
協力会社を管理する。
出来高調書を作成する。
原価報告書を確認する。
実行予算に対して原価を管理する。
追加変更や設計変更を整理する。
発注者と協議する。
工事部長や経営者が、全現場の利益状況を確認する。
この工事管理の中に、ムダ・ムラ・ムリがあると、最後の利益が崩れていきます。
工事管理のムダ・ムラ・ムリとは何か
生産管理やインダストリアルエンジニアリングでは、生産性を下げる要因として、ムダ・ムラ・ムリを見る考え方があります。
これを3Mと呼ぶことがあります。
また、順番を変えて「ダラリ」と呼ばれることもあります。
この考え方は、現場作業だけに限りません。
ゼネコン・元請の工事管理にも、ムダ・ムラ・ムリがあります。
ムダは、資料はあるのに経営判断に活かしきれていない状態です。
ムラは、現場ごとに日報・出来高・原価・追加変更の見え方が違う状態です。
ムリは、人の経験と感覚だけで、全現場の利益を見ようとする状態です。
この3つを放置すると、原価報告書では利益が出ているように見えても、工事の終盤で利益が崩れることがあります。
管理のムダは、資料がつながっていないことから生まれる
ゼネコン・元請には、工事管理のための資料があります。
工事日報。出来高調書。原価報告書。実行予算。代価表。追加変更の資料。設計変更の資料。支払管理資料。未処理原価の確認資料。
これらは、どれも重要です。
しかし、資料があることと、利益管理ができていることは同じではありません。
日報には、現場の日々の動きが出ています。
出来高調書には、協力会社別・工種別の出来高が整理されています。
原価報告書には、月次で処理された原価と利益が出ています。
ところが、これらが別々に見られていると、管理のムダが生まれます。ゼネコン・元請には、工事管理のための資料があります。
工事日報。出来高調書。原価報告書。実行予算。代価表。追加変更の資料。設計変更の資料。支払管理資料。未処理原価の確認資料。
これらは、どれも重要です。
しかし、資料があることと、利益管理ができていることは同じではありません。
日報には、現場の日々の動きが出ています。
出来高調書には、協力会社別・工種別の出来高が整理されています。
原価報告書には、月次で処理された原価と利益が出ています。
ところが、これらが別々に見られていると、管理のムダが生まれます。
日報・出来高調書・原価報告書を別々に見ていないか
たとえば、工事日報では人工や機械の投入が増えている。
出来高調書では出来高が上がっている。
原価報告書では利益が残っているように見える。
この3つを別々に見ると、それぞれの資料は正しく見えます。
しかし、つなげて見ると、違和感が出ることがあります。
人工や機械が増えているのに、なぜ利益が残っているのか。
同じ作業が何日も続いているのに、出来高は本当に進んでいるのか。
出来高は上がっているが、未処理原価が残っていないか。
追加変更は、出来高と原価の両方に反映されているのか。
実行予算に対して、残工事の原価は本当に収まりそうか。
資料はある。
しかし、資料同士がつながっていない。
これが、ゼネコン・元請にとっての管理のムダです。
管理のムラは、現場ごとの見え方の差として表れる
ゼネコン・元請にとって大きな問題になるのが、現場ごとの管理のムラです。
ある現場は、日報が丁寧に書かれている。
別の現場は、必要最低限の記録になっている。
ある現場は、追加変更を早めに整理している。
別の現場は、工事終盤まで整理が遅れている。
ある現場は、現場代理人が工事部長に早めに懸念を伝えている。
別の現場は、月次報告書に数字が出るまで問題が見えにくい。
ある現場は、出来高調書、原価報告書、工事日報の流れがつながっている。
別の現場は、それぞれの資料が別々に動いている。
このようなムラがあると、会社として現場を同じ物差しで見ることが難しくなります。
出来高調書があっても、経営者には現場の日々の動きまでは見えにくい
出来高調書をきちんと作成している現場であれば、現場代理人や工事責任者は内容を理解しています。
工事部長も、直接関与している現場については、感覚的に状況を把握しています。
しかし、会長や社長が全現場を見ようとしたとき、月次の資料だけでは現場の日々の動きまでは分かりにくいことがあります。
どの現場が本当に順調なのか。
どの現場は、利益が残っているように見えているだけなのか。
どの現場に、未処理原価や追加変更の懸念が残っているのか。
どの現場で、日報と月次報告書に違和感があるのか。
この判断をするためには、整理された月次資料だけでなく、現場の日々の動きを見る必要があります。
その入口になるのが、工事日報です。
管理のムリは、人の経験と感覚だけに頼ることから生まれる
現場代理人は、多くの業務を抱えています。
施工管理。工程調整。安全管理。発注者対応。協力会社との調整。書類作成。出来高調書の作成。原価の確認。追加変更の整理。
工事部長も、複数の現場を見ています。
進捗はどうか。
利益は残りそうか。
現場代理人は困っていないか。
追加変更は整理できているか。
発注者との協議は進んでいるか。
現場代理人も工事部長も、直接関与しているため、感覚的には現場の状況を分かっています。
しかし、会社全体で見ると、人の経験と感覚だけに頼る管理にはムリがあります。
現場が増える。工事規模が大きくなる。追加変更が増える。協力会社が増える。現場代理人によって報告の仕方が違う。工事部長が見る現場数が増える。
このような状態になると、経験と感覚だけでは、全現場の利益状況を正しくつかむことが難しくなります。
経営者が月次報告書だけで判断することにもムリがある
会長や社長が、月次の原価報告書だけで全現場の利益を判断することにもムリがあります。
原価報告書は重要です。出来高調書も重要です。実行予算も重要です。
しかし、それらは月次で整理された資料です。
月次資料は、現場の実態を把握するために欠かせない資料です。
ただし、現場の日々の動きがすべてそのまま見えるわけではありません。
日々の人工の増加。
同じ作業の長期化。
機械投入の増加。
追加変更の発生。
未処理原価の気配。
現場代理人が感じている不安。
これらは、月次資料だけでは見えにくいことがあります。
だからこそ、経営者が工事日報という生の情報を見る意味があります。
工事日報は、整理される前の生の情報である
工事日報は、現場でその日に何が起きたかを記録する資料です。
誰が入ったのか。
どの機械を使ったのか。
どの作業を行ったのか。
どれだけ進んだのか。
同じ作業が何日続いているのか。
予定より人や機械が増えていないか。
現場で気になることはなかったか。
工事日報には、月次資料に整理される前の現場の姿が出ています。
これは、出来高調書や原価報告書を軽視するという意味ではありません。
出来高調書は、工事の進捗や協力会社別の出来高を確認するために重要です。
原価報告書は、月次で原価と利益を確認するために重要です。
実行予算は、工事の原価管理の基準として重要です。
しかし、工事日報には、それらの資料が作られる前の現場の動きが残っています。
日報を見続けると、全現場のイメージが頭にできる
会長や社長が工事日報を見続けることには、大きな意味があります。
日報を見続けることで、全現場の日々のイメージが頭の中にできてきます。
この現場は、最近人が増えている。
この現場は、同じ作業が長引いている。
この現場は、機械の投入が多い。
この現場は、追加変更が出ていそうだ。
この現場は、出来高は進んでいるが、原価も重くなりそうだ。
このような現場のイメージがあるからこそ、月次の原価報告書を見たときに違和感を持てます。
日報を見ていなければ、月次資料の数字をそのまま受け取るしかありません。
しかし、日報を見ていれば、数字の奥にある現場の動きが見えてきます。
日報を見ている経営者は、月次報告書の違和感に気づく
月次の原価報告書に利益が出ている。数字だけを見ると、問題がないように見えます。
しかし、日報を見ている経営者は、そこで立ち止まることができます。
この現場は、日報では人工が増えていた。
この作業は、何日も続いていた。
機械が多く入っていた割に、原価が軽く見えていないか。
出来高は進んでいるが、未処理原価は残っていないか。
追加変更は、本当に整理できているのか。
このような問いが出てきます。
これは、現場に細かく口を出すという意味ではありません。
経営者が日報を見る目的は、現場代理人の仕事を細かくチェックすることではありません。
工事部長の管理を否定することでもありません。
目的は、月次報告書の数字を鵜呑みにせず、現場の生の情報と合わせて見ることです。
違和感があるから、早い対話ができる
工事日報を見ているから、報告書の数字に違和感を持てます。
違和感を持てるから、工事部長や現場代理人に確認できます。
確認できるから、未処理原価や追加変更の整理を早めにできます。
早く対話できるから、利益が崩れる前に手を打てます。
大切なのは、現場を責めることではありません。
「この数字はおかしい」と責めるのではなく、
「日報を見ると、少し気になる動きがあるが、実際はどうか」
と確認することです。
この対話が、現場と経営をつなぎます。
出来高調書・原価報告書・工事日報をつなげて見る
ゼネコン・元請の工事原価管理では、資料そのものは多くあります。
工事日報。出来高調書。原価報告書。実行予算。代価表。追加変更の資料。支払管理資料。未処理原価の確認資料。
しかし、資料があるだけでは、利益は守れません。
大切なのは、これらをつなげて見ることです。
日報で現場の動きを見る。
出来高調書で進捗と請求を確認する。
原価報告書で月次の利益を見る。
実行予算に対して、原価が収まりそうかを見る。
追加変更や未処理原価の整理状況を見る。
そして、工事部長や現場代理人と対話する。
この流れができると、工事管理のムダ・ムラ・ムリが見えてきます。
資料をつなげることで、利益の実態が見える
日報だけを見ても、利益は分かりません。
出来高調書だけを見ても、現場の日々の動きは分かりません。
原価報告書だけを見ても、数字の奥にある原因は分かりません。
だからこそ、資料をつなげて見る必要があります。
日報の動きと出来高は合っているか。
出来高と原価のバランスは合っているか。
原価報告書の利益は、現場の動きと合っているか。
追加変更や未処理原価は、後から利益を崩さないか。
実行予算に対して、残工事の原価は収まりそうか。
このように見ていくことで、月次資料だけでは見えにくい利益の実態が見えてきます。
ゼネコンが確認すべきポイント
ゼネコン・元請が利益を守るためには、月次資料だけでなく、現場の日々の動きを確認することが大切です。
特に、次のような点を確認します。
日報では、人工や機械の投入が増えていないか。
同じ作業が何日も続いていないか。
出来高調書の進み方と、日報の現場感に違和感はないか。
原価報告書の利益は、日報で見ていた現場の動きと合っているか。
追加変更や未処理原価で、これから表に出てきそうなものはないか。
工事部長や現場代理人に確認すべき違和感はないか。
この確認は、現場を責めるためではありません。日報を見て、現場の小さなほころびを早く見つける。
月次資料と照らし合わせて、数字の違和感に気づく。
そして、工事部長や現場代理人と対話する。
この流れが、利益を守る経営管理につながります。
会長・社長が見るべきものは、細かな作業指示ではない
会長や社長が工事日報を見る目的は、細かな作業指示を出すことではありません。
現場代理人に代わって施工管理をすることでもありません。
工事部長を飛び越えて現場を動かすことでもありません。
目的は、現場の生の情報を知ることです。
現場の日々の動きを知っているから、月次報告書の数字を正しく見られる。
月次報告書の数字を正しく見られるから、工事部長と質の高い対話ができる。
質の高い対話ができるから、利益を崩す前に手を打てる。
経営者が日報を見る意味は、ここにあります。
まとめ:ゼネコンの利益は、日報と月次資料をつなげて守る
専門工事業者では、ムダ・ムラ・ムリは、人工・機械・施工数量に表れます。
一方、ゼネコン・元請では、ムダ・ムラ・ムリは、工事管理の中にも表れます。
資料はあるのに、つながっていないムダ。
現場ごとに、日報・出来高・原価の見え方が違うムラ。
人の経験と感覚だけで、全現場を見ようとするムリ。
これらが放置されると、月次の原価報告書に出てくる利益は、最後に崩れていきます。
工事日報は、現場の生の情報です。
月次の原価報告書や出来高調書は大切です。
しかし、それだけでは、現場の日々のほころびまでは見えません。
会長や社長が日報を見続けることで、全現場の日々のイメージが頭の中にできます。
そのイメージがあるから、月次報告書の数字に違和感を持てます。
違和感を持てるから、早く工事部長や現場代理人と対話できます。
工事の利益は、月末の原価報告書だけで守るものではありません。
現場が動いている途中で、日報という生の情報を見て、工事管理のムダ・ムラ・ムリを早く見つける。
それが、ゼネコン・元請の利益管理では重要です。
ニックスジャパンの考え方
ニックスジャパンでは、ゼネコン・元請の原価管理は、単に原価報告書を作ることではないと考えています。
大切なのは、実行予算、代価表、出来高調書、工事日報、原価報告書、支払管理、未処理原価、追加変更をつなげて見ることです。
工事日報には、現場の日々の動きがあります。
出来高調書には、協力会社別・工種別の進捗があります。
原価報告書には、月次の利益があります。
実行予算には、工事の原価管理の基準があります。
これらを別々に見るのではなく、月次管理資料として整え、現場実務と経営判断をつなげることが重要です。
MIYABIは、建設業の原価管理を単体で見るシステムではありません。
実行予算、代価表、発注、協力会社別出来高、原価、支払管理を月次管理資料として整え、現場実務と経営判断をつなぐ建設業向け管理システムです。
原価報告書の数字は合っているはずなのに、最後に利益が残らない。
出来高調書や原価報告書は作成しているが、経営判断に活かしきれていない。
工事日報と月次管理資料をつなげて、現場の実態をもっと早く見たい。
そのような課題があれば、一度ご相談ください。

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