原価は、現場のムダ・ムラ・ムリから 崩れていく
工事日報で見る、建設現場の生産性と利益管理。建設現場の原価は、ある日突然悪くなるわけではありません。
月次の原価報告書を見たときに、
「労務費が増えている」
「機械費が重くなっている」
「外注費が予定を超えている」
「思ったほど利益が残っていない」
と分かることがあります。
しかし、それはあくまでも結果です。
実際には、その前に現場で何かが起きています。
作業員は入っている。
機械も入っている。
しかし、施工数量が思うように進んでいない。
この状態が続くと、人工や機械費だけが増え、原価は悪化していきます。
建設現場の利益を守るためには、原価報告書だけを見るのではなく、
工事日報から、現場のムダ・ムラ・ムリを早く見つけることが大切です。
建設現場の原価管理は、原価報告書だけでは不十分
原価管理というと、月次の原価報告書を確認することだと思われがちです。もちろん、原価報告書は重要です。実行予算に対して、どれだけ原価を使っているのか。現在までに、どれだけ利益が残っているのか。完成時に、利益が残りそうなのか。
これらを確認するうえで、原価報告書は欠かせません。
しかし、原価報告書は、基本的には処理された結果を見る資料です。
現場でどのような作業が行われたのか。
何人が入ったのか。
どの機械を使ったのか。
どれだけ施工数量が進んだのか。
なぜ予定より時間がかかったのか。
こうした現場の動きは、原価報告書だけでは十分に分かりません。
そこを見るために重要になるのが、工事日報です。
工事日報は、現場の生産性を見るための資料
工事日報は、単なる提出書類ではありません。その日に、誰が、どの作業を、どの機械で、どれだけ行ったのか。
この情報が記録されている資料です。
工事日報には、現場の生産性を見るための重要な情報が含まれています。
たとえば、次のようなことです。
人工は予定より増えていないか。
機械は必要以上に入っていないか。
施工数量は予定通り進んでいるか。
同じ作業が何日も続いていないか。
機械が入っているのに、作業が進んでいない日はないか。
これらを見ることで、原価報告書に出る前の原価悪化の兆候に気づくことができます。
ムダ・ムラ・ムリとは何か
生産管理やインダストリアルエンジニアリングでは、生産性を下げる要因として、ムダ・ムラ・ムリを見る考え方があります。
これを3Mと呼ぶことがあります。
また、順番を変えて「ダラリ」と呼ばれることもあります。
ムダとは、成果につながらない時間や作業です。
ムラとは、作業量、人員、機械、材料などに波がある状態です。
ムリとは、工程や人員、機械配置に過度な負担がかかっている状態です。
製造業だけでなく、建設現場でもこの考え方は重要です。
なぜなら、建設現場の原価悪化も、現場のムダ・ムラ・ムリから始まることが多いからです。
建設現場では、3Mが人工・機械・施工数量に表れる
建設現場では、3Mは日報の中に表れます。
人工が増えている。
機械台数が増えている。
施工数量が進んでいない。
同じ作業が長引いている。
機械の待機が多い。
夜間作業や追加作業が増えている。
このような状態は、すぐに原価報告書の赤字として出るとは限りません。
しかし、日報を見れば、現場の変化として早く気づくことができます。
原価が悪くなってから原因を探すのではなく、
原価が悪くなる前に、日報から兆候を見つけることが重要です。
ムダは、人工と機械費を直接増やす
建設現場におけるムダとは、人や機械が入っているのに、成果につながっていない時間や配置です。
たとえば、次のような状態です。
手待ちがある。
材料を探している。
作業場所までの移動が長い。
前工程が終わっておらず、作業に入れない。
段取りが整わず、機械が待機している。
やり直しや手戻りが発生している。
必要以上の機械を現場に入れている。
これらは、すべて原価を増やします。
作業員は現場に入っています。
機械も手配されています。
しかし、施工数量が進まなければ、人工と機械費だけが積み上がります。
余分な機械投入も、現場のムダになる
建設現場では、工程を確実にこなすために、少し余裕を持った機械配置をすることがあります。
現場所長や現場責任者の立場からすれば、これは自然な判断です。機械が足りずに作業が止まるより、少し余裕を持って配置しておいた方が安心です。特に中小建設会社では、このような機械配置が見られることがあります。
しかし、原価管理の視点では注意が必要です。
本当に必要な機械なのか。
その日に使う機械なのか。
待機時間が長くなっていないか。
人員と機械の組み合わせは適正か。
施工数量に対して、機械費が重くなっていないか。
ここを見ないと、現場は予定通り進んでいるように見えても、機械費がじわじわと利益を削っていきます。
原価報告書では、後から「機械費が増えた」と見えます。
しかし、実際には、その前に余分な機械投入や機械待機というムダが発生しています。
ムラは、現場の生産性を安定させない
ムラとは、作業量、人員配置、材料搬入、機械の使い方に波がある状態です。
ある日は人が多すぎる。
別の日は人が足りない。
必要な材料が予定通り入らない。
協力会社の入り方が安定しない。
作業量が日によって大きく変わる。
投入機械の台数や使い方が平準化されていない。
このようなムラがあると、現場は安定しません。
人が多い日は、作業場所が足りずに手待ちが出ます。
人が少ない日は、予定数量が進みません。
機械が多すぎる日は、待機時間が増えます。
機械が足りない日は、作業そのものが止まります。
その結果、人工、機械費、外注費が予定より増えていきます。
山積み・山崩しが不十分だと、機械配置にムラが出る
生産管理では、必要な人員や機械を工程に合わせて計画するために、山積み・山崩しという考え方があります。
山積みとは、工程に対して必要な人員や機械の負荷を積み上げて見ることです。
山崩しとは、その負荷が特定の日に集中しないように調整し、平準化することです。
建設現場でも、この考え方は重要です。
どの日に、どれだけの人員が必要なのか。
どの日に、どの機械が必要なのか。
特定の日に機械が集中していないか。
逆に、空いている日が多くなっていないか。
工程全体で、人員や機械を平準化できているか。
この検討が施工段階で十分に行われていないと、現場にはムラが出ます。
ある日は機械が集中し、ある日は機械が余る。
必要な日に機械が足りず、不要な日に待機が発生する。
その結果、人工、機械費、外注費が予定より増えていきます。
ムラは、すぐに赤字として見えるとは限りません。
しかし、日報を見れば、作業量、人員、機械投入の波として表れます。
ムリは、後から原価になって返ってくる
ムリとは、現場に過度な負担をかけている状態です。
無理な工程で作業を進める。
準備が整っていないのに作業を始める。
厳しい納期に合わせるために人や機械を詰め込む。
職長や現場責任者に判断が集中する。
本来必要な確認を飛ばして、先に進めてしまう。
このようなムリは、一時的には現場が動いているように見えます。
しかし、後から手戻り、やり直し、品質不良、安全リスク、追加原価として返ってくることがあります。
工程遅れを取り戻すための機械投入が、効率を落とすことがある
工程が間に合わないとき、機械を多く投入して挽回しようとすることがあります。一見すると、機械を増やせば作業量も増えるように見えます。
しかし、現場の作業場所には限りがあります。
機械を増やしすぎると、機械同士が干渉します。
作業範囲が重なります。
待機時間が増えます。
オペレーター同士の調整も増えます。
かえって作業効率が大きく落ちることがあります。
つまり、機械を増やすことが、必ずしも工程短縮につながるとは限りません。
むしろ、機械費が増え、効率が落ち、原価が悪化することがあります。
急な夜間作業は、工程を守る一方で原価を増やしやすい
工程を取り戻すために、夜間作業を組み込むこともあります。夜間作業は、工程を守るためには必要な場合もあります。
しかし、昼間と同じ効率で進むとは限りません。
照明の確保。
安全確認。
近隣対応。
作業員の疲労。
管理者の負担。
割増賃金や追加費用。
こうした要素が重なり、原価は増えやすくなります。
夜間作業そのものが悪いということではありません。
必要な場合もあります。
ただし、夜間作業を入れれば工程が戻る、という単純な話ではありません。
工程を取り戻すための対策が、機械費、人件費、安全リスク、作業効率低下として返ってくることがあります。
日報で見るべきポイント
工事日報を見るときは、単に提出されているかどうかを見るだけでは不十分です。
大切なのは、人工・機械・施工数量の関係を見ることです。
人工は出ているのに、数量が進んでいない日がないか。
機械が入っているのに、稼働が少ない日がないか。
必要以上の機械を投入している日がないか。
同じ作業が何日も続いていないか。
日によって人員や機械台数に大きな波がないか。
工程の遅れを取り戻すために、機械を詰め込みすぎていないか。
夜間作業や追加作業で、原価が膨らみそうな作業はないか。
これらは、原価報告書に出る前の赤信号です。
人工・機械・施工数量をセットで見る
人工だけを見ても、現場の生産性は分かりません。
機械台数だけを見ても、原価の良し悪しは分かりません。
施工数量だけを見ても、どれだけの原価を使ったかは分かりません。
大切なのは、人工・機械・施工数量をセットで見ることです。
何人で、どの機械を使って、どれだけ進んだのか。
予定した数量に対して、人工や機械が多すぎないか。
同じ数量を施工するのに、前回より人工や機械が増えていないか。
この見方ができると、現場のムダ・ムラ・ムリに気づきやすくなります。
原価管理は、数字を見るだけではなく、原因を見ること
原価管理というと、原価報告書の数字を見ることだと思われがちです。もちろん、数字を見ることは大切です。
しかし、数字だけを見ても、なぜ原価が増えたのかは分かりません。
大切なのは、数字の後ろにある原因を見ることです。
なぜ人工が増えたのか。
なぜ機械費が増えたのか。
なぜ施工数量が進まなかったのか。
どこで手待ちがあったのか。
どこに段取り不足があったのか。
なぜ機械が余分に投入されたのか。
投入機械の山積み・山崩しはできていたのか。
どの作業にムラやムリがあったのか。
ここまで見て、初めて改善につながります。
原価報告書は、結果を教えてくれます。
しかし、改善のヒントは、現場の日報の中にあります。
現場を責めるのではなく、流れを見直す
ムダ・ムラ・ムリを見つける目的は、現場を責めることではありません。
「なぜ数量が進んでいないのか」
「なぜ人工が増えているのか」
「なぜ機械が待っていたのか」
「なぜ機械を多く入れたのか」
このように責めるだけでは、現場は情報を出しにくくなります。
大切なのは、現場の流れを一緒に見直すことです。
段取りに無理はなかったか。
前工程との調整はできていたか。
材料や機械の手配は合っていたか。
作業人数と機械台数は適正だったか。
機械同士が干渉していなかったか。
手戻りを防ぐ確認はできていたか。
現場を責めるのではなく、ムダ・ムラ・ムリを早く見つけて、次の改善につなげる。
これが、利益を守る原価管理です。
まとめ:原価は、現場の3Mを見れば早く気づける
原価は、帳票の中で突然崩れるわけではありません。その前に、現場の中でムダ・ムラ・ムリが起きています。
手待ち。
段取り不足。
余分な機械投入。
機械の待機。
作業量の波。
人員配置や機械配置のばらつき。
無理な工程。
機械同士の干渉。
夜間作業による追加原価。
手戻りややり直し。
これらが積み重なり、後から労務費、機械費、外注費の増加として表れます。
利益を守る会社は、原価報告書の数字だけを見ていません。
日報を見ます。
人工と施工数量を見ます。
機械の投入と稼働を見ます。
同じ作業が長引いていないかを見ます。
現場のムダ・ムラ・ムリを早く見つけます。
工事の利益は、月末の原価報告書だけで守るものではありません。
現場が動いている途中で、小さなほころびを見つけ、早く手を打つことで守るものです。
ニックスジャパンの考え方
ニックスジャパンでは、建設現場の原価管理は、単に原価報告書を作ることではないと考えています。
大切なのは、現場の日々の動きと、月次の原価管理をつなげることです。
工事日報から、人工、機械、作業内容、施工数量を確認する。
現場のムダ・ムラ・ムリを早く見つける。
原価報告書に出る前に、利益を削る原因を確認する。
このような管理ができると、現場の生産性と利益管理がつながります。
KUROJIKAは、工事日報をもとに、作業員・機械・設備の稼働時間を集計し、月次の原価管理や出勤簿、稼働時間一覧につなげるためのシステムです。
日報を単なる提出書類で終わらせず、人工・機械・施工数量を確認し、現場の利益を守るための資料として活用する。
それが、建設現場の原価管理を改善する第一歩です。
工事日報の作成や、人工・機械・施工数量の集計に課題がある場合は、一度ご相談ください。

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