利益を残す会社は見るべき現場を間違えない
建設会社の利益は、現場ごとの積み重ねで決まります。一つひとつの現場が予定利益を残せば、会社全体の利益は安定します。
反対に、黒字予想だった現場が最後にトントンになったり、赤字になったりすれば、会社全体の利益は大きく崩れます。
ここで大切なのは、すべての現場を同じように見ることではありません。現場責任者や現場代理人には、どうしても力量差があります。
原価意識が高く、先を読み、段取りよく現場を進められる人。見てあげることで、利益を守れる人。
早めに支援しないと、予定利益を崩しやすい人。
この差を無視して、全現場を同じように管理しても、利益は安定しません。利益を残す会社は、見るべき現場を間違えません。
2:6:2のパレートの法則を、現場管理に置き換えて考える
2:6:2のパレートの法則を、現場管理に置き換えて考えてみましょう。
組織や現場を見るときに、2:6:2のパレートの法則で整理することがあります。
上位2割。
中間6割。
下位2割。
これを建設現場の現場責任者や現場代理人に置き換えると、会社として見るべきポイントが分かりやすくなります。
上位2割は、利益を残す力が高い現場責任者です。
中間6割は、状況によって利益を残すこともあれば、予定利益を崩すこともある層です。
下位2割は、黒字予想の現場でも、最終的に利益を残しきれないことが多い層です。
これは、人を決めつけるための分類ではありません。
会社として、どこに管理の目を向けるべきかを考えるための見方です。
現場責任者の力量差は、利益の差として表れる
同じような工事金額。同じような工期。同じような協力会社。同じような実行予算。
それでも、現場によって利益に差が出ます。
その差は、現場責任者の原価意識、先を読む力、段取り力、協力会社との調整力に表れます。
利益を残す現場責任者は、1週間後、1か月後、最終的な完成形を見ながら動いています。
一方で、目の前の作業だけを追いかけている現場では、材料手配、図面確認、工程調整、段取り替えが後手に回りやすくなります。
その結果、手待ちや手戻りが増え、現場の稼働率が下がり、人工・機械費・外注費が増えていきます。
上位2割の現場は、任せることも大切
上位2割の現場責任者は、細かく指示しなくても、自分で現場を組み立てる力を持っています。完工のイメージを描くことができます。
実行予算を意識している。
工程の先を見ている。
協力会社との調整が早い。
材料や図面の確認が後手に回らない。
日報や原価の動きを見ながら、早めに手を打っている。
このような現場は、会社としても安心して任せることができます。
もちろん、まったく見なくてよいという意味ではありません。
しかし、細かく口を出しすぎるより現場責任者の判断を尊重し、必要な報告を受けながら任せる方が、現場はうまく回ることがあります。
任せる現場にも、最低限の確認は必要
優秀な現場責任者の現場でも、会社として最低限の確認は必要です。
実行予算に対して原価はどう動いているか。
出来高と原価のバランスは合っているか。
未処理原価は残っていないか。
追加変更は整理されているか。
工期終盤に原価が集中しそうな要素はないか。
任せることと、見ないことは違います。
利益を残す会社は、任せる現場であっても、月次の原価報告書、出来高、工事日報などから、必要な確認を続けています。
中間6割の現場は、見てあげることで安定する
中間6割の現場は、見てあげることで安定していきます。会社全体の利益を考えると、最も重要なのは中間6割です。
この層は、状況によって結果が変わります。
見てあげれば利益を残せる。
早めに声をかければ、段取りの抜けを修正できる。
工事部長が支援すれば、原価の悪化を防げる。
逆に放置すると、判断遅れや確認漏れが積み重なる。
つまり、中間6割は、会社の関与によって結果が変わる層です。
ここを放置すると、予定利益を崩す現場が増えます。
反対に、ここを丁寧に見てあげることで、会社全体の利益は大きく安定します。
「見てあげる」とは、現場を責めることではない
見てあげるとは、現場を責めることではありません。
原価が悪い。
工程が遅い。
日報の内容が足りない。
このように指摘するだけでは、現場は良くなりません。
大切なのは、問題が大きくなる前に、一緒に確認することです。
日報を見る。
工程を見る。
出来高を見る。
原価報告書を見る。
未処理原価を確認する。
追加変更の整理状況を確認する。
そして、現場責任者と対話します。
どこで作業が止まりそうか。
どの材料が遅れそうか。
どの協力会社との調整が必要か。
どの変更が原価に影響しそうか。
この対話が、中間層の現場を安定させます。
予定利益を崩しやすい現場には、早めの重点支援が必要
黒字予想で始まった現場でも、最終的に利益を残しきれないことがあります。
最初は問題がないように見える。月次の原価報告書でも、まだ赤字には見えない。
しかし、日報や現場の動きを見ていると、少しずつ違和感がある。
人工が増えている。
同じ作業が長引いている。
機械の投入が増えている。
施工数量が思うように進んでいない。
追加変更の整理が遅れている。
未処理原価が残っていそうである。
このような現場は、早めに重点支援する必要があります。
赤字が確定してからでは、打てる手は限られます。
利益を残す会社は、赤信号になる前に、黄色信号の段階で動きます。
重点支援とは、現場任せにしないこと
重点支援とは、現場責任者を否定することではありません。会社として、現場を支えることです。
工事部長が原価の動きを確認する。
工程の組み直しを一緒に考える。
協力会社との調整を支援する。
追加変更の整理を早める。
未処理原価を確認する。
必要であれば、現場への関与を増やす。
現場責任者だけで抱え込ませないことが重要です。
予定利益を崩しやすい現場ほど、早めに会社が関与する必要があります。
見るべき現場を見極めるために必要な情報
見るべき現場を見極めるには、感覚だけでは不十分です。現場は、必ず何かしらの信号を出しています。
その信号を見るためには、次の情報をつなげる必要があります。
工事日報。
工程表。
出来高調書。
原価報告書。
実行予算。
未処理原価。
追加変更。
これらを別々に見るのではなく、つなげて見ることで、現場の状態が見えてきます。
日報・出来高・原価報告書をつなげて見る
工事日報には、現場の日々の動きが出ています。
誰が入ったのか。
どの機械を使ったのか。
どの作業をしたのか。
施工数量は進んでいるのか。
同じ作業が長引いていないか。
出来高調書には、工事の進捗や協力会社別の出来高が出ています。
原価報告書には、月次で処理された原価と利益が出ています。
この3つをつなげると、違和感が見えます。
日報では人工が増えているのに、出来高は思うほど進んでいない。
出来高は上がっているが、未処理原価が残っている。
原価報告書では利益が出ているが、現場の動きから見ると楽観的に見える。
このような違和感が、見るべき現場を教えてくれます。
工事部長・社長は、全現場を同じ濃さで見る必要はない
工事部長や社長が、すべての現場を同じ濃さで見ることは現実的ではありません。
だからこそ、見る濃淡をつける必要があります。
任せてよい現場。
定期的に見てあげる現場。
重点的に支援すべき現場。
この区分ができれば、限られた時間を効果的に使えます。
優秀な現場には、必要以上に口を出さない。
中間層には、早めに声をかけて支える。
予定利益を崩しやすい現場には、赤字になる前に関与する。
この見極めが、会社全体の利益を守ります。
現場巡回も、見るべき現場を決めて行う
現場巡回も、ただ順番に回るだけでは効果が薄くなります。
今、見るべき現場はどこか。
どの現場に黄色信号が出ているか。
どの現場に工事部長の支援が必要か。
どの現場で、追加変更や未処理原価が残っていそうか。
この視点で現場を回ることが大切です。
優秀な現場責任者の現場に時間をかけすぎ、支援が必要な現場を見落としてしまうと、会社としての管理は弱くなります。
利益を残す会社は、現場巡回にも優先順位をつけています。
利益を残す会社は、個人技だけに頼らない
優秀な現場責任者がいることは、会社にとって大きな強みです。
しかし、会社全体の利益を安定させるには、優秀な人の個人技だけに頼ってはいけません。
誰が現場を担当しても、危ない兆候を早く見つけられること。
工事部長や社長が、見るべき現場を判断できること。
日報、出来高、原価報告書、実行予算から、現場の状態を確認できること。
必要な現場に、早めに支援を入れられること。
この仕組みが必要です。
任せる・見てあげる・重点支援する
利益を残す会社は、現場への関わり方を分けています。
任せる現場は任せる。見てあげる現場は、定期的に確認する。重点支援すべき現場には、早めに深く関与する。
これは、現場責任者を評価するためだけではありません。
会社として、利益を守るための管理です。
現場を責めるのではなく、見るべき現場を見極め、必要な支援を早く入れる。
そこに、利益を残す会社の管理があります。
まとめ:利益を残す会社は、見るべき現場を見極めている
建設会社の利益は、現場ごとの積み重ねで決まります。
そして、現場責任者や現場代理人には、どうしても力量差があります。
上位2割の現場は、任せても利益を残せる。
中間6割の現場は、見てあげることで安定する。
予定利益を崩しやすい現場は、早めに重点支援する必要がある。
この2:6:2のパレートの法則を、会社としての現場管理に活かすことが重要です。
全現場を同じように見るのではなく、見るべき現場を見極める。
そのために、工事日報、工程表、出来高調書、原価報告書、実行予算、未処理原価、追加変更をつなげて見る。
現場が出している小さな信号を早く見つける。
そして、必要な現場に早めに関与する。
これが、会社全体の利益を安定させる管理です。
ニックスジャパンの考え方
ニックスジャパンでは、建設業の利益管理は、単に原価報告書を作ることではないと考えています。
大切なのは、見るべき現場を早く見つけることです。
そのためには、日報、工程、出来高、原価、実行予算、追加変更、未処理原価をつなげて見る必要があります。
MIYABIは、実行予算、代価表、発注、出来高、原価、支払管理を月次管理資料として整え、現場実務と経営判断をつなぐ建設業向け管理システムです。
KUROJIKAは、工事日報をもとに、作業員・機械・設備の稼働時間を集計し、月次原価管理や稼働時間一覧につなげるシステムです。
e-番割は、作業予定、人員配置、機械配置を見える化し、現場の段取りを支援するシステムです。
利益を残す会社は、優秀な現場責任者の個人技だけに頼りません。
任せる現場、見てあげる現場、重点支援する現場を見極め、会社として利益を守る仕組みを持っています。
見るべき現場を早く見つけたい。
現場の兆候を、日報や原価管理から把握したい。
現場責任者の力量差を、会社として支える仕組みをつくりたい。
そのような課題があれば、一度ご相談ください。

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