⏱️ この記事で分かること(読了時間:約6分)
✅ 生産工学の2つの柱:時間研究と動作分析
✅ ECRS改善の4原則の定義と意味
✅ 改善の優先順位(E→C→R→S)
✅ ワークサンプリングで判明した現場の稼働率の実態
✅ 改善余地を見つける4つの視点
生産工学の2つの柱
生産工学の世界では、作業改善のために時間研究と動作分析という2つの柱から構成されています。
これらは、製造業において長年培われてきた手法ですが、建設業においても極めて有効な改善手法です。
時間研究とは
時間研究とは、ストップウォッチによって作業を計測し、その問題点を把握する方法です
- 各作業にどれだけの時間がかかっているか測定
- どの工程に時間がかかりすぎているか特定
- 標準時間との比較で改善余地を発見
時間という客観的な数値で、問題を明確化します。
動作分析とは
動作分析は、ヒト、機械の動きを捉えて、紙の上に図として表示し、どの作業が不要か、作業の前後関係に問題がないかなどを検討する手法です
- 作業員の動線を図示する
- 機械の移動経路を可視化する
- 無駄な動きを発見する
- 作業順序の妥当性を検証する
視覚的に問題を把握することで、改善策が見えてきます。動作分析は、ヒト、機械の動きを捉えて、紙の上に図として表示し、どの作業が不要か、作業の前後関係に問題がないかなどを検討する手法です
- 作業員の動線を図示する
- 機械の移動経路を可視化する
- 無駄な動きを発見する
- 作業順序の妥当性を検証する
視覚的に問題を把握することで、改善策が見えてきます。
時間研究の具体的な進め方
時間研究は、どのように進めるのでしょうか。
1. 作業の細分化
まず、大きな作業を小さな要素作業に分解します。
例:「型枠設置」という作業を細分化
- 型枠材料を運搬する
- 型枠を組み立てる
- 位置を調整する
- 固定する
- 検査する
2. 時間計測
各要素作業にかかる時間を、ストップウォッチで計測します。
- 複数回測定して平均を取る
- 作業のばらつきを把握する
- 異常値を除外する
3. 分析と改善点の抽出
計測したデータから、問題点を見つけます。
- 時間がかかりすぎている作業はどれか
- なぜ時間がかかるのか
- どうすれば短縮できるか
動作分析の具体的な進め方
動作分析は、どのように進めるのでしょうか。
1. 動きの観察
実際の作業を観察し、記録します。
- 作業員がどのように動いているか
- 機械がどのような経路を通っているか
- 資材の流れはどうなっているか
2. 図示化
観察した内容を、図として表現します。
- 平面図に動線を記入
- 作業フローチャートを作成
- 時系列で作業を整理
3. 問題点の発見
図を見ながら、問題点を探します。
- 無駄な移動はないか
- 往復動線になっていないか
- 作業の順序は適切か
- 待ち時間は発生していないか
ECRS改善の4原則
これら2つの手法によって問題点を把握した後、改善するポイントは、下記のECRSの4通りです。
ECRSは、改善の優先順位を示しています。Eから順に検討することが重要です。
E(Eliminate:排除)
作業そのものの排除
要は、意味のない作業、排除しても差し障りのない作業を見つけ、一気になくしてしまいます。
これが最も効果の大きい改善です。
C(Combine:結合)
別々に単独の作業として構成されているモノを一つの作業とする
2つの作業を統合することで、効率を高めます。
R(Rearrangement:再構成)
全体の作業の流れを見て、作業個々の前後関係、または、ヒトと機械の連合作業等を再評価し、構成し直すこと
作業の順序を変えるだけで、効率が向上することがあります。
S(Simple:簡素化)
作業そのものをもっと簡単にできないか、検討を加えること
最後に、残った作業をより簡単にする方法を考えます。
現場の稼働率の実態
上記4つの視点で捉えた時に、まだまだ現場での作業に改善を行うことは可能ではないでしょうか。
ワークサンプリングの結果
ワークサンプリングという手法で、建設現場の個々の作業(ヒト、機械)の稼働率を計測したところ:
- 良くて70%
- 平均すると概ね50〜60%
という結果が出ています。
稼働率50〜60%の意味
一日8時間働いても、実際に付加価値を生んでいる時間は:
- 50%なら4時間
- 60%なら4.8時間
- 70%なら5.6時間
残りの時間は、運搬、待機、段取りなどの非稼働時間です。
改善余地の大きさ
この数字が示すのは、まだまだ改善の余地が大きいということです。
- 稼働率を60%から70%に向上できれば
- 一日あたり0.8時間(48分)の生産性向上
- 約17%の効率化
ECRS改善の視点で作業を見直すことで、この改善が可能になります。
ECRS改善を現場に適用するポイント
ECRS改善を現場で実践するためには、どのようなアプローチが必要でしょうか。
まず「排除(E)」から考える
改善を考える際、多くの人は「どうすれば効率的にできるか(S:簡素化)」から入りがちです。
しかし、最も効果が高いのは「その作業自体を無くせないか(E:排除)」という視点です。
- この作業は本当に必要か
- 誰のための作業か
- 無くしても問題ないか
次に「結合(C)」を検討
排除できない作業は、他の作業とまとめられないか考えます。
- 別々に実施している作業を統合できないか
- 複数の人が行っている作業を一人でできないか
- 複数回に分けている作業を一度にできないか
「再構成(R)」で流れを最適化
作業の順序を変えることで、効率が向上することがあります。
- 作業の前後関係に無理はないか
- 待ち時間は発生していないか
- 並行してできる作業はないか
最後に「簡素化(S)」
残った作業を、より簡単にする方法を考えます。
- もっと楽な方法はないか
- 時間を短縮できないか
- ミスを減らせないか
ECRS改善を継続するポイント
ECRS改善は、一度実施して終わりではありません。
継続的な改善が重要
- 新しい工法や機械が導入されたら、再度検討
- 定期的に作業を見直す
- 改善事例を水平展開する
全員参加で取り組む
- 現場の作業員が最も作業を知っている
- 改善提案を奨励する
- 成功事例を共有する
効果を測定する
- 改善前後の時間を比較
- 効果を金額で把握
- モチベーションを維持
システムによる改善効果の測定
弊社システムは、稼働率向上のための基礎データを提供します。
- 作業予定を明確化
- 作業の前後関係を可視化
- R(再構成)の検討材料を提供
- e-番割と連動し、月次稼働時間一覧表を作成
- 現場別・人員ごとの稼働時間を自動集計
- 改善前後の稼働時間データを比較分析
これらのシステムにより、ECRS改善の取り組みを客観的に評価し、継続的な改善につなげることができます。
まとめ
生産工学のECRS改善の4原則は、建設現場の作業効率を高める強力な武器です。
重要なポイント:
- 時間研究と動作分析が改善の基礎
- ECRSの順に改善を検討(E→C→R→S)
- E(排除)が最も効果が大きい
- 現場の稼働率は50〜70%、改善余地は大きい
- 継続的な改善で生産性を向上
まずは、「この作業は本当に必要か?」という視点で、現場を見直してみましょう。
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📅 次回配信予定
2025年12月9日(火)10:00配信予定
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