⏱️ この記事で分かること(読了時間:約5分)
✅ なぜ請求書を待っていては遅いのか
✅ 「原価はすべて現場にある」の意味
✅ 工数管理から原価を予測する方法
✅ 先手を打つ原価管理の実践
✅ 日々の工数把握がもたらす効果
はじめに
番外編の第2回は、「原価はすべて現場にある」というテーマでお伝えします。
多くの建設会社では、請求書が届いてから原価を集計しています。しかし、それでは手遅れです。赤字が確定してから分かっても、取り戻すことはできません。
では、どうすれば先手を打てるのか。その答えは、現場にあります。
請求書を待っていては遅い
月末に請求書が届き、集計して初めて「今月は赤字だった」と分かる。これでは、原価管理とは言えません。
後追いの原価管理
従来の原価管理は、こんな流れでした。
月末に請求書が届く。経理が集計する。翌月の中旬頃に原価報告が上がる。そこで初めて「この現場は赤字だ」と分かる。
しかし、その時点ではすでに1ヶ月以上が経過しています。工事が進んでしまった後では、取り戻すことは困難です。
「来月取り戻します」の繰り返し
赤字が判明すると、現場責任者は「来月取り戻します」と言います。
しかし、具体的な根拠はありません。希望的観測です。
そして翌月、また請求書が届き、また赤字が判明する。この繰り返しです。
なぜこうなるのか。原価の発生と把握の間に、タイムラグがあるからです。
原価はすべて現場にある
建設業の原価は、すべて現場で発生しています。請求書は、それを後から金額に換算したものに過ぎません。
原価の発生源
建設業の原価は、大きく3つの要素で構成されています。
- 労務費:作業員が働いた時間
- 機械費:重機や機械が稼働した時間
- 材料費:材料を使用した量
これらはすべて、現場で発生しています。
請求書は、これらを後から金額に換算したものです。つまり、現場で発生した事実を、後から追いかけているに過ぎません。
現場を見れば原価が分かる
逆に言えば、現場を見れば原価が分かるということです。
今日、作業員が何人来て、何時間働いたか。重機が何時間稼働したか。材料をどれだけ使ったか。
これらを把握すれば、請求書を待たずに原価を予測できます。
単価は分かっています。数量を把握すれば、金額が計算できます。
工数を把握すれば原価が見える
工数とは、作業員の投入量です。「人工(にんく)」とも言います。工数を把握することが、原価予測の第一歩です。
工数管理の基本
工数管理とは、誰が、どの現場で、何時間働いたかを記録することです。
これだけで、労務費の大部分が把握できます。
建設業において、労務費は原価の大きな割合を占めます。特に専門工事業者にとっては、原価のほとんどが労務費です。
つまり、工数を把握すれば、原価の大部分が見えるのです。
日々の積み上げ
工数管理のポイントは、日々記録することです。
月末にまとめて記録しようとすると、正確な数字が分からなくなります。「あの日は何人だったっけ」と曖昧になります。
日々の作業が終わった時点で、その日の工数を記録する。この積み上げが、正確な原価把握につながります。
工種別に把握する
さらに重要なのは、工種別に把握することです。
「今日は10人工かかった」だけでは不十分です。
「型枠に4人工、鉄筋に3人工、コンクリートに3人工」と、工種別に記録する。
これにより、どの工種にどれだけの工数がかかっているかが見えます。予算との比較ができ、問題のある工種を早期に発見できます。
先手を打つ原価管理
工数を日々把握すれば、請求書を待たずに原価を予測できます。そして、問題があれば先手を打てます。
日次で損益を把握する
工数を日々記録し、単価を掛ければ、日々の労務費が分かります。
出来高と比較すれば、日々の損益が見えます。
「今日の出来高に対して、工数がかかりすぎている」
これが分かれば、翌日から対策を打てます。月末まで待つ必要はありません。
週次で傾向を確認する
日次のデータを週単位で集計すれば、傾向が見えます。
「今週は先週より歩掛が悪化している」
「この工種だけ、予算をオーバーしている」
週次で傾向を確認し、問題があれば早めに対策を講じる。これが、先手を打つ原価管理です。
「昨日の損失は今日取り戻す」
記事30でお伝えした通り、「昨日の1円の損失は、今日取り戻す」。これが原価管理の基本です。
請求書を待っていては、1ヶ月分の損失が積み上がってしまいます。
日々把握していれば、昨日の損失を今日取り戻す機会があります。この差が、工事完了時点での利益を大きく左右します。
材料と機械も同様に
労務費だけでなく、材料費と機械費も現場で把握できます。
材料の使用量を記録する
材料は、現場で使用した時点で原価が発生しています。
納品された時点ではありません。使用した時点です。
日々、どの材料をどれだけ使ったか記録すれば、材料費を先行して把握できます。
特に、数量管理が重要な材料(コンクリート、鉄筋、型枠材など)は、使用量を記録することで、ロスを早期に発見できます。
機械の稼働時間を記録する
重機や機械も、稼働した時間を記録すれば、機械費を把握できます。
レンタル機械であれば、稼働時間と単価から費用を計算できます。
自社保有の機械でも、稼働時間を記録することで、原価配賦の精度が上がります。
工数管理がもたらす効果
工数管理は、原価予測だけでなく、さまざまな効果をもたらします。
歩掛データの蓄積
工数を工種別に記録し、出来高と紐づければ、歩掛データが蓄積されます。
「この工種は、うちの会社では平均○○人工/㎡かかる」
このデータがあれば、次の現場の実行予算を、より精度高く作成できます。
現場間の比較
記事30、31でお伝えした通り、共通の物差しで現場を比較することが重要です。
工数データがあれば、現場間の歩掛を比較できます。
「あの現場はなぜ歩掛が良いのか」「自分の現場との違いは何か」
この分析が、段取り力の向上につながります。
段取りの見える化
工数データは、段取りの良し悪しを数字で示します。
同じ工種、同じ条件でも、現場管理者によって歩掛が違う。
その差が見えれば、「何が違うのか」を分析できます。良い段取りを標準化し、横展開できます。
マネジメントシステムの役割
工数管理を継続するには、システムの支援が必要です。
入力の負担を減らす
工数管理が続かない最大の理由は、入力の負担です。
日々の作業で疲れた後に、細かい数字を入力するのは大変です。
だからこそ、システムで入力の負担を減らすことが重要です。
弊社のe-番割では、タッチパネルで作業予定を入力するだけで、工事日報原価管理システムKUROJIKAと連動して工数が自動集計されます。工事日報の入力が不要になり、現場の負担を大幅に軽減できます。
データを自動集計する
作業終了時に入力された実績データを、自動的に集計・分析する。これもシステムの役割です。
工種別の工数、現場別の歩掛、予算との比較。これらを自動的に計算し、見える化する。
現場責任者は、数字を見て判断するだけで良い。計算に時間をかける必要がありません。
先手を打てる情報を提供する
弊社MIYABIでは、日々の原価を把握し、EVMグラフで将来予測を表示します。
「このままのペースでいくと、工事完了時点でいくらの利益(または損失)になるか」
この予測が見えれば、先手を打つことができます。
予測を見せるだけでは人は動かない、と記事31でお伝えしました。しかし、予測がなければ、そもそも手の打ちようがありません。
システムが予測を提供し、上長が具体的にフィードバックする。この組み合わせが、人を動かします。
まとめ
建設業の原価は、すべて現場で発生しています。
作業員の工数、機械の稼働時間、材料の使用量。これらを日々把握すれば、請求書を待たずに原価を予測できます。
請求書が届いてから「赤字だった」と分かっても遅い。日々把握していれば、「昨日の損失は今日取り戻す」ことができます。
工数管理は、原価予測だけでなく、歩掛データの蓄積、現場間の比較、段取りの見える化にもつながります。これらが、企業の競争力を高めていきます。
マネジメントシステムは、この工数管理を支援する道具です。入力の負担を減らし、データを自動集計し、先手を打てる情報を提供する。
私たちニックスジャパンは、「建設業のお客様に建設業の最高のマネジメントシステムを届ける」という使命のもと、現場の実態に即した原価管理を支援してまいります。
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